神谷明のキャリアは53年におよぶ。特に『キン肉マン』、『北斗の拳』、『シティーハンター』と連続して伝説的作品で主演した1980年代の活躍は圧巻の一言。中でも“代表作”と語る『シティーハンター』と主人公・冴羽リョウ(※正しい表記は「けものへん」に「尞」)の人気は不変で、2023年9月8日より劇場版最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開中。いまだ現役という超人ぶりを見せつける神谷さんのTHE CHANGEとは――。【第2回/全4回】

神谷明 撮影/冨田望

 神谷明さんのキャリアのスタートは舞台俳優だ。高校時代に友人に誘われて演劇部に入り、卒業後は職に就きながらアマチュア劇団を経て、1970年に劇団「テアトル・エコー」に入団。これが、神谷さんの人生を大きく変えることになった。

――直球ですが、神谷さんの人生において「CHANGE」という言葉から浮かぶことはなんでしょう。

「劇団『テアトル・エコー』に入ったことです。アマチュアでお芝居をやっていて、プロに入ったら、天と地ほど芝居が違いました。発想から表現からすべてのレベルが想像と全然違う。僕は高校演劇からやっていましたが、高校演劇とアマチュア演劇のときにも床と天井くらいの違いを感じましたけど、プロとアマでは天と地の違いを感じましたね。それを見せていただいたのが、まず最初のチェンジでした」

そしてプロの役者になるために扉を叩いた劇団で、神谷さんは“声優”という天職と出会うことになる。

「劇団に入ったら、山田康雄さん(ルパン三世)、納谷悟朗さん(銭形警部)、熊倉一雄さん(『ひょっこりひょうたん島』トラヒゲ)、太田淑子さん(ひみつのアッコちゃん)、平井道子さん(魔法使いサリー)、杉山佳寿子さん(アルプスの少女ハイジ)がいらして、声優の道がそこに拓けていたんです」

――あまりにもすごいメンバーです……。

「そしてアニメブームが待っていた。ここも大きなチェンジでしたね。さらに、僕にとっては『うる星やつら』も大きな出会いでした」