1回戦が始まったばかりのM – 1グランプリ2023で、本誌がイチオシしたい芸人が令和ロマンだ。M – 1グランプリ2022の敗者復活戦で鮮烈なネタを披露すると、視聴者投票2位に食い込んで今後の活躍を期待させた。その後も各劇場を沸かせて、7月の『ABCお笑いグランプリ』で準優勝。令和ロマンとは何者か。その正体に迫った。
 令和ロマンのTHE CHANGEとは――。【第1回/全4回】

令和ロマン(高比良くるま・左/松井ケムリ) 撮影/武田敏将

「学生お笑い」もいいシステム

――お二人は慶応大学のお笑いサークルに入った時点でプロになろうと考えていたんですか?

ケムリ 僕はそう考えていて、サークルで組んでいた相方とプロになろうと思っていたんですけど、彼が「就職する」と言い出して。一人ぼっちになって、くるまと組みました。

――ケムリさんのお父さんは一流企業の副社長なんですよね。反対されませんでしたか?

ケムリ 日本のサラリーマンランキング245位(年収1憶8000万円)をやらせていただいてます。母親は反対したけど、父親は「AIにできない仕事だからいいんじゃないか」と認めてくれました。名言です。

――くるまさんはどうですか?

くるま 僕は当初プロになろうと思ってなくて。親に「芸人になりたい」と言ったこともありませんでした。そもそも母親と同居していなくて、祖母と曾祖母と祖母の弟と暮らしていたので、70歳を超えている3人に言ったところで「へ~」だったと思うんです。

――真空ジェシカやストレッチーズが先輩にいたり、他大学の同期にラランドがいる環境には影響されましたか?

くるま なんとなく入ったら、「ちゃんと面白い人がいるんだ」とビックリして。川北(真空ジェシカ)さんはかぶってないんですけど、資料映像を見せられました。川北さんは大学在学中に「R – 1ぐらんぷり」で準決勝まで進出していたんです。

ケムリ 他大学の学生とライブをするようになって、この面白い人たちの中で自分が通用していなかったら「プロになろう」と思わなかったし、実際、諦めた人たちもいて。そう考えたら「学生お笑い」もいいシステムなのかなと思います。

くるま レベルが高くて期間が長いNSCみたいなものかなと。そこで通用しなかったらプロなんて無理ですから。