結論を急がないということが大事
ーーチームプレイで色気を作り上げているのですね。
柄本「そう思います」
しかしやはり、柄本さん自身から漂う色気はある。その背景には、独特の余裕がにじむ、心境の変化がありそうだ。
柄本「最近思うのは、結婚して子どももできて、今年で37歳になるという年齢的なこともあるかもしれませんが、“結論を急がない”ということが大事なんだなと思うようになりました。
たとえばダメ出しをもらったときなど、それが“よくなってたね”と言われるのが、70歳を越えたくらいでもいいのかな、という感じです」
ーーゆとりを感じる考え方ですね。
柄本「だって、どうしようもないことは絶対にあって。好きなこともあれば嫌いなこともあるし。出会いもあるし。焦る必要があるときもあるんでしょうけれど、最近の考え方や趣味嗜好は、“待ち”に寄っていますね
一概には言えませんが、時間の流れは変わりましたね。非常にゆったりとした穏やかな気持ちの流れになったという、変化はあるかもしれません。でも、基本的にはそんなに変わらないかな」
行雲流水な精神。それこそが柄本さんの色気の源泉なのかもしれない。
■えもと・たすく
1986年12月16日生まれ、東京都出身。オーディションを経て映画『美しい夏キリシマ』(2003年)で主演デビューし、第77回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第13回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。2018年には「素敵なダイナマイトスキャンダル」「きみの鳥はうたえる」などに出演、第73回毎日映画コンクール男優主演賞、第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞ほかに輝いた。2023年は監督作の短編連作集『ippo』、そして『春画先生』が公開、冬には『花腐し』が控える。