芸能界への憧れより「表現したい」気持ちが強かった
姉のように、自分も「なにか」になりたい。それがなんなのか明確な像を結ばぬまま、山田さんは中学校3年の2学期終業後に家族とともに鹿児島から上京。東京の中学校へ転入する。さらに原宿でスカウトされ芸能界入りした。
山田「鹿児島の田舎に住む15歳の中学生にとって、それが人生のもっとも大きな変化、転換期だったと言えるんじゃないかな。芸能界への憧れというより、“自分も表現したい”気持ちが強かったですね。俳優になるといった具体的な夢があったわけじゃない。
その気持ちは、現在も変わっていないんです。演じようが、歌おうが、詞を書こうが脚本を書こうが、“表現したい”という気持ちは中学生の頃からずっと同じ。プロデューサー、ディレクターもしているけれど、形が違うだけで、中学生の頃に湧きあがった“表現”に対する欲求、ただそれだけなんです。中学時代から25年、気持ちはまったく変わらないです。
そのときそのときで “これはやらなきゃいけないんだ”と感じた仕事をやっている。自分の表現とは何なのか、現在も探し続けている途中です。だから自分で自分を俳優だと思ったことは一度もない。僕の肩書がなんなのかは、観ている人が決めればいいですから」
活動の幅が広く、多才と呼ばれる山田さんだが、意欲の源流は「表現」、ただ一つだった。
山田孝之(やまだたかゆき)
1983年鹿児島県出身。俳優、アーティスト、監督、プロデューサーなど多彩な顔を持つ。1999年俳優デビュー。2000年に放送されたNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』、ドラマ版『ウォーターボーイズ』(03/フジテレビ系)、主演ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(04/TBS系)などで一躍人気に。映画『電車男』(05)で映画初主演。その後、『クローズZERO』や『闇金ウシジマくん』などがシリーズ化。作品ごとの徹底した役づくりに定評がある。2010年にはアメリカのハリウッド・レポーター誌による「世界の注目俳優10人」に選出。最新映画『唄う六人の女』では、車の事故の影響である美しい森に迷い込んでしまう男、宇和島を演じる。
●作品情報
映画『唄う六人の女』
ある日突然、40年以上も会っていない父親の訃報が入り、父が遺した山を売るために生家に戻った萱島(竹野内豊)と、その土地を買いに来た開発業者の下請けの宇和島 (山田孝之)。契約の手続きを終え、人里離れた山道を車で帰っている途中に、2人は事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、男たちは身体を縄で縛られ身動きができない。そんな彼らの前に現われたのは、この森に暮らす美しい六人の女たち。何を聞いても一切答えのない彼女たちは、彼らの前で奇妙な振る舞いを続ける。異様な地に迷い込んでしまった男たちは、この場所からの脱走を図るが……。
監督:石橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、竹中直人、他
Ⓒ2023「唄う六人の女」製作委員会
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
公開:10月27日(金)、TOHOシネマズ日比谷他、全国ロードショー
上映時間:112分
映倫指定:PG12
ヘアメイク:南辻 光宏 MITSUHIRO MINAMITSUJI
スタイリスト:飯田恵理子(CORAZON)
シャツ/¥59,400(税込み)/Y‘s(ワイズ) パンツ/¥50,600(税込み)/Y‘s(ワイズ)