テレビ番組での歯に衣着せぬコメントで存在感を発揮した女装家、ミッツ・マングローブさん。ドラァグクイーン、高学歴タレント、徳光和夫さんの甥……などさまざまな肩書きでメディア進出をしたミッツさんだが、本人の口から語られるのは、意外な素顔だった。ミッツさんのTHE CHANGEを探る。【第3回/全5回】  

ミッツ・マングローブ 撮影/冨田望

 

 小学校高学年はロンドンですごし、高校・大学と慶應義塾に通い、卒業後は英国ウエストミンスター大学コマーシャル・ミュージック学科へ留学。20代後半にドラァグクイーンとして新宿・二丁目でその名を馳せ、オネエタレントとして大ブレイク……と、経歴をたどると、その人生にはさまざまなTHE CHANGEが点在しているミッツ・マングローブさん。

 だが、ミッツさん自身がTHE CHANGEととらえるのは、ただひとつだった。

「小学校5年生のときに親の転勤でイギリスに行ったことですね。自分自身で決めたことではないし、受け身の体勢であれだけ環境が変わるというのは、子ども時代にしか経験できないことでしょう。それが一番大きいんじゃないですかね。それ以降のことは、自分の意思がそこにありましたから。親に扶養されている時期ならではの出来事だったな、と」

「変わる」ということは、ミッツさんにとって不可抗力だった出来事を示す。自分で選んだその後の道と、有無もいわさず「変えられた」ことは、自身に降りかかる未知の影響が、まったく違うのだ。