テレビ番組での歯に衣着せぬコメントで存在感を発揮した女装家、ミッツ・マングローブさん。ドラァグクイーン、高学歴タレント、徳光和夫さんの甥……などさまざまな肩書きでメディア進出をしたミッツさんだが、本人の口から語られるのは、意外な素顔だった。ミッツさんのTHE CHANGEを探る。【第5回/全5回】  

ミッツ・マングローブ 撮影/冨田望

 

 テレビでの鋭いコメントとは一転して、常にゆったりとした口調をキープして話すミッツ・マングローブさんに、「人生最大の危機」を聞いてみると、そんなミッツさん“らしい”答えが返ってきた。

「危機ですか? 命の危険もないし、病気や事故に遭ったこともないし、仕事で上手くいかないとか、そういったこともまったくない」

ーーずっとフラットなマインドを保っている、ということですか?

「いえ、常に“フラットじゃないな”と思いながら生きています。めんどうくさい、というのが常にあります」

ーーめんどうくさい? なにがでしょうか。

「すべてです。生きることです」

ーーいま、ここに来たことも?

「めんどうくさいです」

ーーすみません……!

「朝、目が覚めた瞬間に、“あ゛あ゛あ゛あ゛……また生きてる……”って思うんです。まず自分の体を起こさなきゃいけないし、カーテン開けなきゃいけないし、トイレに行かなきゃいけない。全部めんどうくさいです」