サッカー界を代表する選手のひとりだった鈴木啓太。浦和レッズのＭＦとして活躍し、オシム監督率いる日本代表では全試合に出場。２０１５年に引退後は、研究開発型のベンチャー企業の経営者に転身。多数のテレビ番組やイベント、ＹｏｕＴｕｂｅにも出演する。多方面で活躍する鈴木さんの「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」を深堀りした。【第１回／全５回】
コーヒーを片手にモデルのような雰囲気を漂わせ、ＡｕＢのオフィスがある高層ビルの一室にさっそうと現れた。ＡｕＢは鈴木さんが２０１５年に設立したベンチャー企業。腸内細菌の可能性に着目し、腸内フローラ(腸内細菌の生態系)解析事業を行う研究開発型の会社だ。４５競技１０００人を超えるトップアスリートの腸内を研究し、腸内環境をケアするサプリメントを開発・販売している。かつての日本代表選手が今や、実業家。その真意をまず尋ねた。
「引退を決めた時、研究者などＡｕＢの創業メンバーから、“それならば、ＡｕＢの社長をできるね” と言われたのです。確かに僕が起業の“言い出しっぺ”だったから、引き受けました。それ以前に、“アスリートの便は一般の方々の健康に貢献することができる”とメンバーで話し合うことがあったんです。僕は、子どもの頃に母親から腸と健康には関係があることを教えられていたこともあり、“めちゃおもしろそう。この分野で起業しようよ！”と言っていたんです。
２０１５年６月に起業を決心しました。まだ現役の頃でした。その時点で浦和レッズ以外のチームからオファーがあったのですが、不整脈があり、コンディションは以前のようにはもどらない。もう、１００％の力を出し切ることができない。浦和レッズでの１６年のサッカー人生は十分にすばらしく、完全に納得できていました。未練はない。オファーはとてもありがたったのですが、迷うことなく引退をしました」
