赤井英和のキャリアは唯一無二だ。世界を狙えるボクサーから大事故で引退。その後、俳優となり。1989年公開のデビュー作にして主演作『どついたるねん』が絶大な評価を獲得し、以来、30年以上にわたって活躍を続けている。
 その活躍は、妻の佳子なしではありえなかった。一女二男を育て、マネジャーとして日々の現場にも同行。佳子さんが赤井家の日常を投稿するXは絶大な人気を獲得している。
 2人にとっての「THE CHANGE」とはなんだったのか。あらためて、30年にわたる半生を聞いた。【第8回/全10回】 

撮影/三浦龍司

 1985年の2月5日、結果的に最後の試合となった大和田正春戦で7ラウンドKO負け。その後、急性硬膜下血腫、脳挫傷で緊急手術を受けた赤井英和さんは、生存率20%と言われた死の淵から奇跡的な回復を果たす。

ーー赤井さんが退院された後、恩師ともいうべきトレーナーのエディ・タウンゼントさんに挨拶に行った時、これから本当の友達が誰だか分かるよ、とおっしゃってましたが、そういう感じは……。

赤井「はい」

佳子「でも、友達も先輩もお世話になった方も、赤井の周りは誰もいなくならなかったんですよ。急に、周りから人がいなくなって寂しかったっていうことはなかった。

 本当に友達だったり先輩だったり、もうずっとその時から今も変わりなく、ボクシングがない時だって、俳優になってからだって、本当に人に恵まれていると思います」

ーー赤井さんご自身で、人に恵まれている理由はなんだと思いますか?

赤井「ラッキーでしかないですね。本当、私自身のことを分析はできないんですけども、どうしても恵まれているなと」

ーー佳子さんはどう思われますか?

佳子「やっぱり駆け引きがない。思っていることと、喋っていることが一緒っていう。すごい付き合いやすいじゃないですか。手に取るように考えていることが分かる。それも全員が考えていることが分かる」

赤井「あのー、さっきから聞いてるとアホや言うとるやろ」

ーー笑