2005年放送のNHK連続テレビ小説『風のハルカ』で2005人の中からヒロインに抜擢された村川絵梨。以来、さまざまなドラマや映画、舞台で存在感を発揮してきた。2023年には“振り切った”役で話題になった村川さんの道程にあったTHE CHANGEとは。【第4回/全5回】

村川絵梨 撮影/三浦龍司

 2024年2月に日生劇場、3月に梅田芸術劇場メインホールで、香取慎吾さん主演の舞台『テラヤマキャバレー』への出演が決まっている村川絵梨さん。「まだ顔合わせ前で、どんな作品になるのか楽しみ」と胸を踊らせる。

 舞台が好き、なのだと、熱のこもった視線をこちらに向ける。

 初舞台を踏んだのは、NHK連続テレビ小説『風のハルカ』が終了してすぐ、19歳のときだった。

「朝ドラで叩き込まれたことが多すぎて、女優としてもっとちゃんとするために、“私は舞台をやらなきゃダメだ”と思ったんです。じゃないとほかの人たちに追いつけないって。みんなが学校で勉強して学んでいる間、私は“朝ドラのヒロイン”というラッキーなポジションにいたし、“今の私には足りない部分が多すぎる”と思ったんです」

 初舞台で演じたのは『歌姫』のヒロイン役だった。

ーー演出家の方から言われたことで、印象的だったことはありますか?

「“モノローグ、いま、なに?”と言われました」

ーーモノローグ?

「歩いているじゃないですか、そこで、“何を考えて歩いてるの? 心のモノローグ”って。私は、ただ歩いていたんです。左から右にある出口のほうへ。でも、なんのために出口に向かっているのかというと、行動ひとつひとつに理由があるんですよね。それは実は当たり前のことなんですけど。人間を演じるときに、そういった“余白”がないとダメなんだということを叩き込まれました。

 あとは、声の出し方も言われましたね。“叫べ”“解放しろ”とか。すごくスパルタな演出家の方だったので、泣きながらやっていました(笑)」

 過酷に聞こえる初舞台の思い出を、「私、スパルタにされるのけっこう好きなんだと思います」とさっぱりと言い放つ。