２０２３年６月、根室市（北海道）を拠点に独自の活動をするアマチュアプロレス団体「新根室プロレス」が、３年半ぶりに復活した。２００６年に設立した時からの会長であり、人気選手でもあるサムソン宮本が、２０１９年に自らががんを患っていることを告白し、解散を宣言。２０１７年にデビューした身長３メートルの超巨大レスラーのアンドレザ・ジャイアントパンダがマスメディアやＳＮＳで話題となり、全国や海外でも知られる団体になっていただけに、多くのファンが惜しんだ。
２０２０年、サムソン宮本は５５歳で他界。選手たちは悲しみや喪失感を乗り越え、２３年に活動の再開を決意した。サムソン宮本の弟であり、新根室プロレス・本部長のオッサンタイガーとアンドレザ・ジャイアントパンダに「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」を深堀りした。【第１回／全３回】
東京渋谷のインタビュー会場に現れたのは、身長3メートル超の巨体、“歩く熊猫山脈”アンドレザ・ジャイアントパンダ。新根室プロレス・本部長のオッサンタイガー選手がアキレス腱断裂の負傷により来京できずリモートでの参加となったため、アンドレザ選手単独での登場となった。
２００６年から現在に至るまでを映像記録にした映画『無理しない ケガしない 明日も仕事！ 新根室プロレス物語』が、２０２４年新春から都内や北海道の劇場で公開される。映画はサムソン宮本さんをはじめ、団体の選手たちを長期にわたり、密着取材した力作。笑えるシーンもあるが、医師からの余命宣告のやりとりもあり、最後は涙を誘う内容となっている。
映画制作の経緯について、サムソン宮本の実弟であるオッサンタイガーに聞いた。
「４年前にテレビ局から番組の取材依頼があったんです。プロデューサーに新根室プロレスの立ち上げから現在に至るまでを説明したところ、すごく興味をもってくれました。そこから映画化が一気に進んだ。当初、サムソンはとてもびっくりしていた。こんなのが映画になっていいの？と言っていたくらい。
映画を観ると切なくなるんですが、うれしくもなりました。僕らは立ち上げから今にいたるまで立ち止まり、振り返ることがなかった。ひたすら走り続けてきたんです。その歩みを再確認できました。何よりも、サムソン宮本という男が残してきたものが、可視化されているのがとてもうれしかったですね」
映画のナレーションを務める北海道出身の俳優安田顕は、映画の公式HPで「新根室プロレスなんて知らなかった。プロレスが好きだから感動したんじゃない。新根室プロレスが紡いだ一縷の夢が、あまりに尊いからだ。サムソン宮本氏の闘魂に、敬意を表します」とコメントを寄せている。
