身にまとうのは黒パン1枚。あとは奇声と表情を武器に爆笑をさらうーー。一度見たら忘れられない強烈なインパクトを誇る芸人・ハリウッドザコシショウ。いまや賞レース審査員を務めるほどだが、そこに至るまでには数多くの「THE CHANGE」があったーー。【第1回/全6回】

ハリウッドザコシショウ 撮影/冨田望

 取材当日、太陽の関係でインタビュー前に屋外で写真撮影をすることになった。12月だったがザコシショウさんは、おなじみの黒いテンガロンハットに半袖のTシャツ姿。「寒くないんですか?」と尋ねると「ぜんぜん大丈夫です」と答え、豊かな表情と大きなアクションで、カメラの前で次々とポーズを取ってくれた。

 しかし、カメラマンがどアップの表情を撮ろうと思いきり寄ると、はにかんだのか思わず照れ笑いが浮かぶ。その素の表情に生真面目な人柄がのぞいている。

 インタビューに移っても、ザコシショウさんは真面目だった。開口一番、

「こういう取材に真面目に答えると、同期のケンコバが“しょっぱいな、お前”ってイジってくるから、答えにくいんですよね(笑)。ケンコバみたく、インタビューでボケまくるのも、芸人としてうらやましいなと思うんですが……でも、今回は真面目なほうがいいんでしょ?」

 と、NSC時代の同期だったケンドーコバヤシさんを引き合いに出す。「そうですね……真面目なほうで」と答えると、ザコシショウさんは照れくさそうに「はい」とひと言。そして、取材が始まった。

カメラに寄られて思わずはにかむザコシショウ

「実は、小学校の1・2年生までは内気でおとなしくて、女の子とよく遊んでいたんですよ。だけど、3年生になって、ちょっとそれじゃあかんなって、教室の前に出て、学校の先生のモノマネとかをするようになったんです。それが、僕にとって初めてのお笑い体験かもしれない」 

――少年時代、影響を受けた人はいますか?

「小学生時代は『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)のビートたけしさんに影響されました。たけしさんのひと言で、みんながバカ笑いするし、場の空気が変わる。たけしさんがいるといないとじゃ、ぜんぜん違うんです。子どもながらにすごいなって。
 中学生になると、今度は、『東京イエローページ』(TBS系)の竹中直人さんにハマりました。当時シュールなコントをやっていて、竹中さんが演じている訳のわからないキャラが本当に面白くて。僕の今の芸風は、完全に竹中さんの影響です」

――笑いの好みが早熟ですね。

「静岡に住んでいて、周りの友達は、誰も『東京イエローページ』を見ていなかったので、理解者ゼロだったんですけど(笑)のちに、吉本興業の養成所・大阪NSCに一緒に入る同級生も見ていなくて……。でも結局、そいつとコンビ(※G★MENS)を組んで大阪へ行くんですけど」