死んでお詫びができるのなら助からなくてもいい
慢性硬膜下血腫という病気で、頭蓋骨に穴を開けてたまった血液を抜いたのですが、麻酔をしているにもかかわらず、ガーガー音が聞こえて怖かったことを今でも覚えています。
でも、そんなことよりも私は、舞台を途中で降りたことのほうがつらかった。1700人のお客様に対して申し訳ない気持ちでいっぱいで、このまま死んでお詫びができるのなら助からなくてもいい、とまで思いました。
幸い術後の経過は良く、1か月後には仕事に復帰できました。そこから健康には気をつけるように……と言えばいいんでしょうが、相変わらずタバコは吸うし、せいぜい近所を散歩するくらい。
歩いていると妙齢のご婦人方が「豪さーん!」なんて声をかけてくださるので、まだまだオレも捨てたもんじゃないな、と思いますけどね(笑)。
2022年は映画を2本撮って、2023年はサスペンスドラマ『赤い霊柩車』シリーズの最終話をやりました。このシリーズは非常に人気があって、30年以上やったんだけど、主役の(片平)なぎさちゃんと、婚約者役の神田(正輝)くんが、60歳を過ぎてもまだ結婚するのしないのとやってる(笑)。私が演じていた狩矢という警部だって、とっくに定年でしょう。