心に響いたまかろにステーション・ギャビンの言葉「ロックとは」

 永野さんのTHECHANGEは、ロープから落ちた時。そして、心に響いた言葉があるという。

「後輩の言葉なのに覚えちゃってるのが、まかろにステーションのギャビン。ギャビンが、すごい、あー面白いな、ということ言ってて。

 ラップが流行っているから、ラップって本場の国の人からしたらなんなの、って聞いたんですよ。そしたら、ラップ、ヒップホップっていうのは、成りあがる音楽だと。もうゲットーから身一つで。

 それで、ロックってなんだろう、って続けて聞いたら、ロックは落ちることなんだ、と。身を落としてる。

 僕もそっちです、ってギャビンも言ってたんですけど、普通の家庭なんですよ。僕。いまのお笑いの人って、ラップ的だと思うんですよ。ガンバルゾーっていって。周りの人たちも、みんなも賞レースでがんばれ、って。

 でも、ロックは普通の生活から身を落として、自ら跳ねつけていくみたいな。それが、おもしろい時があったんですよ。

 まさかの後輩で、20歳くらい下の白人の言葉なんですけど、THE CHANGE。すげえ、それは感動しました。

 身を落とすとって、そういうことなんだろうな。成りあがるばっかりじゃないですか、今みなさん。ガンバロー、ガンバローって。

 でもなんか、自ら落とすっていうのが見えるというか、下から見るというか。上じゃなくて、下から見るほうは意外と楽だったな。

 あきらめた、とはまた違うんですけどね。楽しんでないとか、絶望とかではないんですよ。楽しく、ああーってロープから落ちていった。

 それが、僕のTHECHANGEです」 

■プロフィール
永野 ながの
1974年9月2日生まれ。宮崎県出身。AB型。1995年にピン芸人としてデビュー。「ゴッホとピカソに捧げる歌」などのシュールなネタで注目を集める。ロックフリークとしても知られ、愛情と知識で語られる音楽トークは人気に。GLAYのライブにゲスト出演し、俳優・斎藤工とは映画をともに製作するなど華麗な交流がある。2021年に『僕はロックなんか聴いてきた 〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き! 〜』、2023年に『オルタナティブ』(ともにリットーミュージック)を出版