製作・監督・脚本・撮影・照明・美術・編集などすべてに関与して作品を作り上げる塚本晋也。俳優としても監督作のほとんどに出演するほか、他監督の作品にも多く出演している。彼の「THE CHANGE」とは。【第1回/全2回】

塚本晋也

 小学生になったばかりの頃、僕は毎週日曜日に放送される『ウルトラQ』(TBS系)という特撮ドラマに夢中でした。

 怪獣が出てくるのが面白かったというのはもちろんですが、モノクロ画面の中に漂う怖さに魅せられていたように思います。

 おかげでよく怖い夢を見たものですが、だんだん自分が見た悪夢なのか『ウルトラQ』で見たものなのか境目が曖昧になっていったんです。それくらい、あの世界観は、子ども時代の僕の心の深いところに入り込んでいたのだなと思います。

 高学年になってからハマったのは、江戸川乱歩の小説。特に『少年探偵団』が好きで、中でも別部隊として夜の町で活躍するチンピラ別働隊にはドキドキしましたね。

 そんなふうに、子どもの頃からダークな色合いのものに心ひかれていたことが、後の映画作りのベースになっているように思います。

 さらに、僕は引っ込み思案で、妄想癖のある子どもで、つまらない授業中や、病気で寝込んだときなど、頭の中で妄想をして、その中に入り込むことで苦痛から逃れていたのも、関係しているかもしれません。その妄想は圧倒的なものでしたが、端から見ると、ただヨダレを垂らしてぼんやりしている子どもで……(笑)。そのときの妄想が、後に映画になっていきます。今もそのときと同じくらい没入して妄想したとき、良い映画が出来上がります。

 そうして中学生のときに作ったのが、父の8ミリカメラで撮った10分くらいの『原始さん』という怪獣映画。そこから本格的に映画を作りたいと思うようになりました。