デビュー4年目でNHK朝ドラヒロインとなった芳根京子。以来、CM、映画、ドラマで活躍し、2023年には10周年を迎えた。「現場にいる時間も長くなり、自分が何をすればいいのか」を強く考えるようになったという芳根さんのTHE CHANGEとはーー。【第2回/全4回】

芳根京子 撮影/有坂政晴

「私、カラオケの十八番がないんです」

 そう話しはじめたのは、俳優の芳根京子さん。

「映画『カラオケ行こ!』に出て、一番の後悔はそれです。私には十八番がない。やっぱ聞かれるよなーと思いながらずっと考えてるんですけど……これ歌う、ってないんだよなあ。好きな歌はあるんですが、なかなかカラオケに入ってなかったり、みんなに言っても知らない人が多くて“はい?”ってなるんです。

 家族とのカラオケが一番多くて、昔の歌、幼いころ見てたアニメの曲とか歌うかな……」

ーーちなみになんていう曲でしょうか?

「……たこやきマントマン」

ーーはい?

「ですよね……そうなりますよね……」

ーーすみません、ホントにすみません。あとで勉強しておきます。(※『たこやきマントマン』。同名の絵本を原作として1998年から99年にかけて放送されたアニメ。たこ焼きの五つ子の活躍を描く。同作のテーマが「たこやきマントマン主題歌」)

 ご家族でカラオケに行くことが多いんですか?

「カラオケに行くというより、家にあるゲーム機でカラオケするんです。年末年始とかに家族とおばあちゃんと一緒にやるんですけど、すごく楽しいです! おばあちゃんの選曲がシブいんですよね」

――ところで映画『カラオケ行こ!』では、合唱部部長の聡実(齋藤潤)が合唱部とは別に大切にしている「映画を見る会」の時間もありました。芳根さんの中学時代、ホッとできる空間、居場所はどんなところでしたか?

 「私は、部活のために生きているようなタイプで、フルートをやってたんですけど、吹奏楽のために学校に行っている感じでした。だから、落ち着くのも緊張するのも、嬉しいのも悲しいのも、すべての感情の源になったのが音楽室でした。きっと、これまでの先輩方とか代々の生徒たちの感情もそこに詰まっていたと思うのですが、私も毎日そこにいて、たぶん今行ったら、それだけで泣いてしまうんじゃないかというくらい、いろんな思いが詰まっています」