人からネガティブな意味で変わったとは言われたくない

――楽しいだけではなく、さまざまな思いが詰まっているからこそ、より大切な場所なのでしょうか。

芳根京子 撮影/有坂政晴

 「そうですね。悔しい思いもしました。朝練も放課後も、土日も、本当にずっといて。先生に怒られたり、音が合わなかったり、コンクールで金賞が取れなかったり……。でもコンクールといった大きな出来事だけでなく、日常の、悔しいも楽しいも嬉しいも、すべての感情が詰まっていました」

――今行ったら泣いてしまうとのことでしたが、卒業後に行かれたことは?

 「あります。でも先生も変わってしまいましたし、あの時間のあの空間というのも、また特別だったのかなと思います」

 ――たしかに場所も同じようでいて、人とともに変化していきますね。ちなみに改めて芳根さんにとって「変化、チェンジ」と問われたら、何になりますか?

 「変化ですか? うーん。私にとって、チェンジとは進化ですね」

 ――それはどういった意味合いでしょう。

 「変化って、ポジティブもネガティブもありますよね。だけど私の意地として、人からネガティブな意味で変わったとは言われたくないんです。“変わった”だけだと、どちらの意味も含むから、意地でもポジティブな方向へ向くように、“進化”としたいんです」

 ――そこに強い意志があるわけですね。

 「はい。だから私は“変化したね”ではなく“進化したね”と言われたいと思っています」

  芳根さんの佇まいからも強さが滲む気がするのは、こうした“意地でも”と言える意思を持っているからなのだろう。

よしね・きょうこ
1997年、2月28日生まれ、東京都出身。2013年にテレビドラマ『ラスト♡シンデレラ』でデビュー。14年、映画『物置のピアノ』で映画初出演にて初主演を飾る。同年、NHKの朝ドラ『花子とアン』に出演。2016年後期にはNHK朝ドラ『べっぴんさん』でヒロインを務めた。ほか主な出演作に、1000人以上のオーディションで主演に選ばれたドラマ『表参道高校合唱部!』、『海月姫』『真犯人フラグ』『オールドルーキー』『それってパクリじゃないですか?』、映画『幕が上がる』『64 -ロクヨン-』『Arc アーク』等。『累-かさね-』『散り椿』(18)で、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。最新の出演映画『カラオケ行こ!』では中学校の合唱部副顧問役を演じている。

 ●作品情報
映画『カラオケ行こ!』
原作:和山やま
監督:山下敦弘
脚本:野木亜紀子
出演:綾野剛、齋藤潤、芳根京子、北村一輝
(C) 2024『カラオケ行こ!』製作委員会
 配給:KADOKAWA 
公開:1月12日(金)