だから観た人に委ねるしかない

ーー萩原さんは、ドラマ『冬のソナタ』のペ・ヨンジュンなど、声優としても活躍されていますよね。特にアニメ『逆境無頼カイジ』(日本テレビ系)でのカイジ役では、新たなファンを開拓したと思います。カイジのハマり具合、ほんとうにかっこよかったです。

「みんな気を遣って“かっこよかったです”と言ってくれるけど、“かっこ悪かった”とは言えないからね(笑)。役者って、その辺の真相がわからないままで終わるんですよ。だから観た人に委ねるしかない」

ーー作品を観て、どう思いますか?

「自分を肯定したりとか褒めることはあまりできないタイプだど思います。僕自身もそうですが、憧れの存在が世の中にたくさんいる以上、それを超えたときは自分のことを好きになれるかもしれないですけど、超えることは永遠にないと思っています。背中を追い続ける……インスパイアされる存在がいろんなところにあったほうが、面白くないですか」

ーーそうですね。それがなくなると、進化しなくなるような気がします。

「そうなんですよ。年をとると、どうしても劣化していくんですよね。だから、劣化しながら進化していきたい、というのが僕の今のテーマなんです。劣化だけは抗えないけど、意識は進化できるから」

 終了予定時間ギリギリまで、たっぷりと語ってくれた萩原さん。「もう大丈夫かな」と気遣いながら椅子から立ち上がる。出口へと歩く萩原さんの背中に、「そういえば今、中高生の間でも麻雀アプリ『雀魂』が流行っていると聞きました。萩原さんもやりますか?」と、質問を投げかけた。

「ゲームアプリは全然やらないです。麻雀じゃないんで。麻雀”ゲーム”なんですよ」

ーー麻雀ではない……?

「『パワプロ』は野球じゃないですよね。それと一緒です」

■萩原聖人(はぎわら・まさと)
1987年に俳優デビュー。90年、テレビドラマ『はいすくーる落書2』(TBS)で注目を集め、93年、『学校』(山田洋次監督)、『教祖誕生』(天間敏宏監督)、『月はどっちに出ている』(崔洋一監督)で日本アカデミー賞優秀新人俳優賞と話題賞(俳優部門)、95年、『マークスの山』(崔洋一監督)、97年には『CURE』(黒沢清監督)で同賞優秀助演男優賞ほか数々の賞を受賞。以降もドラマ、映画、舞台、ナレーションなど幅広く活躍している。2024年1月11日より「牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者」(TOKYO MX・BS日テレ)、1月21日より「厨房のありす」(日本テレビ)に出演中。

特撮ドラマ『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』
原作:雨宮慶太
監督:松⽥康洋、⽥中佑和、⽊村好克
アクション監督;鈴村正樹
脚本:兒玉宣勝、吉﨑崇⼆
出演:栗山航、仲野温、中澤実子、黒谷友香、萩原聖人
放送期間:2024年1月~3月
放送局:TOKYO MX、BS日テレ
製作/制作:東北新社