1992年、遠藤章造とお笑いコンビ『ココリコ』を結成しデビューした田中直樹。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』をはじめとした人気バラエティ番組で活躍する一方、実力派俳優として多くのドラマや映画に出演。お笑いでも演技でも、第一線を走り続ける彼の「THE CHANGE」とはーー?【第1回/全2回】

田中直樹 撮影/イシワタ フミアキ

 相方の遠藤章造とお笑いコンビ『ココリコ』として仕事をさせてもらって、はや32年がたちました。

 デビュー当初は、コントをやってました。3年をひとつの区切りにして、その間に「一分一秒でもテレビのレギュラーを持てなかったら辞めよう」って相方とも話していたんです。それで3年目の終わりぐらいに、テレビ静岡の番組でミニコーナーを持たせてもらって、それが今につながります。

 一番きつかった仕事は、デビューして6年目ぐらいで『ココリコ 黄金伝説』(テレビ朝日系)って冠レギュラーをやっていた頃ですかね。当時は多忙で、ほんとに心の余裕がなかったんです。

 そもそも、『黄金伝説』って番組自体、うなぎパイだけで1週間生活するとか、鶏と暮らすとか(笑)、そんな過酷な内容がはしご的に続いていたんですよね。自宅は中にいくつもカメラが仕掛けられていて、合鍵をもったスタッフが4人ぐらい、僕の部屋に勝手に出入りしてる状態でした。そういえばあのときの合鍵、1本だけ戻って来てないな(笑)。

 そんな生活も、余裕のなさに拍車をかけていたんですね。気持ち的にも追いついていなかったし、いろんなことがうまくいかないのを、相方とお互いのせいにしあったこともありましたね。

 でも、そんな気持ちも、多くの人たちと仕事をこなしていくうちに、少しずつ変わってきたんです。人との関わりの大切さといいますか、いろんな人たちが働いてくれているから成り立っていることに気づいて、感謝とか謙虚さという、当たり前のことを、年齢を重ね経験を積むことによって気づかされたんです。

 役者としての仕事は、芸人としてデビューしてから7年目ぐらいの頃からいただくようになったんです。