少年隊で3人が満足するってことは一度もなかった

「ゴールがないのがアイドルなんじゃないかと僕は思うんですよね」

 アイドルとは何かと尋ねると、植草さんはそう応えた。

「今ってK―POPグループも枠組みで言えばアイドルだし、“アイドル”という言葉の受け取り方が変わってきているわけですよ。アイドルだって、いつまでも歌って踊っては続かない。次に何をするべきか。自分の変化を応援していただいてる方々に、どうやって認めてもらうか、というのを考える必要があると思うんです」

 テレビ番組に出て爽やかな笑顔を見せ、コンサートでは歌って踊る。世間が思い浮かべるアイドルとしてだけではなく、時代に即して常に変化をし続ける。それこそが真のアイドルだということだろう。そんな植草さんの哲学は、少年隊時代に育まれたという。

「ヒガシもニシキもそうだけど、少年隊で3人が満足するってことは一度もなかったです。ステージの幕が下りたら、次は何をしたらいいんだろう? って常に考えていましたから。だから、『NHK紅白歌合戦』に出ようが、『日本レコード大賞』で最優秀新人賞に選ばれようが、3人で抱き合って“良かったね”って喜んでいても、そこがゴールではなかったですね」

 そんな植草さんだからこそ、危機感を覚えることがあるという。

「僕らの仕事ってコンサートや舞台を作り上げることであって、物を作ることなんです。より良い物を常に作るのが仕事で、そこに最高到着地点はないはずなのに、最近はゴールを勝手に設けてしまっている。そのことには危機感を覚えますね」