やっぱり自分たちでコンビ名を決めたい

 ほんこんさんと舞台でコントをやったら手応えがあって、2丁目劇場に定着するようになりました。ただ、僕の中で強烈に「ネタをやりたい!」という欲があったわけではありません。当時はコンビじゃないと居場所を作ることができなかったんです。

 どうでもええかなと思って、長いことコンビ名がついていませんでした。周りから「コンビ名をつけたほうがいい」と、番組で募集する流れになったんです。番組で告知したものの「やっぱり自分たちでコンビ名を決めたい」と、島田紳助さんの個人事務所の名前だった130Rにしたんです。2人ともバイクが好きやったからね。もちろん、紳助さんからは許可をもらいました。

 その後、ダウンタウンさんが東京で番組を始めるときに指名されて、『ごっつええ感じ』(フジテレビ系)に出るようになるんですけど、130Rというより、僕もほんこんさんもひとりの芸人としてコントや企画に出演していました。

 それから現在に至るまでコンビで活動することは少なくて、それぞれ別のフィールドで仕事をしています。

 23年8月放送の『マルコポロリ!』(関西テレビ)で、ほんこんさんから「『THE SECOND』(芸歴16年以上の芸人による漫才の賞レース)に出よう」と言われたけど、劇場で漫才を突き詰めてきた人たちとは違って、130Rはもともとコント中心だし、テレビが居場所になっているから、それはないかなぁと。ほんこんさんも「130Rでネタをやりたい」と思いつつ、いまさらコンビで舞台に立つことの難しさもわかっているはず。かといって、130Rを解散することはないと思います。資産を共有しているわけでもないから、面倒な手続きもなく別れることはできるんですけど、解散する理由もないから、「まぁ、どっちでもええかな」ということで。

取材・文/大貫真之介 撮影/川しまゆうこ

板尾創路(いたお いつじ)。1963年7月18日生まれ、大阪府出身。NSC大阪校4期生。1986年にほんこんと蔵野・板尾(現130R)結成。芸人としてはもちろん、俳優・映画監督としても幅広く活躍している。