84年にデビューするやいなや、瞬く間に人気アーティストとなったBARBEE BOYSのベーシストであるエンリケ。彼の活躍は、バービーだけに留まらない。浜崎あゆみを始め、永井真理子、江口洋介などの数多くのバックバンドも務めた。現在も、ベーシストとして精力的な活動を続けている、エンリケという名プレーヤーの誕生と転機に迫る。【第3回/全5回】

ENRIQUE 撮影/冨田望

 取材時に、記者が『負けるもん会』と書かれたバービーボーイズのファンクラブの会員証を手渡すと、「ファンクラブのだね」とすぐに気づいたエンリケさん。エンリケさんのプロとしてのキャリアのスタートでもあるバービー。20歳で加入したときは、男女の駆け引きを歌うバービーの音楽をどのように感じていたのだろうか。

「バービーは、放送禁止用語になるような具体的な言葉は使ってはいなかった。でも言葉のやりとりの妙というか、ボーカルの二人が歌う歌詞のいやらしさはテクニックだったね。だって『チャンス到来』(アルバム『Freebee』収録)っていうタイトルも、普通の人が聞いたら“これで一攫千金だ!”みたいな意味のチャンスだと思うよね(笑)。

 イマサ(いまみちともたか・バービーのギタリスト)がバービーに曲を書くと、ちゃんとラブソングなんだよ。しかもみんなの心に残るような、そういうフックのある言葉を選ぶのがうまい」

――バービーの歌詞は、女性がすごくかっこよく描かれていますよね。

「そうなんだよ。杏子ちゃんは多面性を持った歌い手で、曲によってポジションが変わる。すごく色っぽいのに、かっこよかった。でもライブではタンバリンを宙に放り投げて、キャッチに失敗して出血したりもしていたよ(笑)」