自分の力では、どうしようもできないことも……
ーー聞いているだけで、目が回りそうです。
「若かったから、できたんだと思います。今はもう、体力的に無理です(笑)。ただ、当時の私は他のドラマの現場を知らなかったので、これが普通だと思っていたんです。後になって、“朝ドラは過酷だった”と分かりましたね」
ーーつらくて、逃げたくなったときはありましたか。
「そうですね。屋久島で雪解けの水の中に飛び込むシーンもありましたけど、そういうのは自分の力で乗り越えられるものなので、大丈夫でした。でも、自分の力では、どうしようもできないことがあって……」
ーーどんなシーンだったんですか。
「赤ちゃんを抱っこするシーンです。赤ちゃんだからしかたないんですけど、ずっと泣いてしまっていて……。当時の私はまだ18歳だったので、赤ちゃんのあやし方も分かりませんでした」
ーーそれは自分の力で、どうしようもできませんよね。
「しかも、年末の時期で、スタッフさんも〝このシーンが終われば、明日から正月だ!〟という状況だったんです。
私が赤ちゃんをあやせないせいで、時間も押してしまって……。焦りに耐えきれなくなって、いったん赤ちゃんをスタッフさんに預けて、トイレに駆け込んじゃいました。つらくて泣いてしまったのは、それが最初で最後です」
ーー撮影の裏側で、そんなこともあったんですね。
そして衝撃的だったのが、デビュー10年目に出演された映画『失恋殺人』。この作品で、宮地さんはバストトップも披露する大胆な濡れ場に挑戦した。
「断らない女優」になりたいという宮地真緒さん。「自分の中で苦手かもと思っているジャンルでも、逃げずに挑戦していくスタイルでいたいです」と、丁寧な語り口で、ぶしつけな質問にも答えてくれた。朗読劇『星の王子さま』にも期待が膨らむ。
(つづく)
みやじ・まお 1984年2月2日、兵庫・淡路島生まれ。T168。2000年のデビュー後、02年に第27代『旭化成水着キャンペーンモデル』に起用される。同年のNHK朝ドラ『まんてん』のヒロイン役に抜擢され、一躍、全国区の人気女優に。10年には映画『失恋殺人』で濡れ場を演じ、話題になった。