「明るい」初代、「ダンディ」な2代目、「庶民的」な3代目、「博学」な4代目、「美しい」5代目

 でも、私としては一番見てほしかったのは、悪者をやっつけるシーンの立ち回り。お銀の衣装をレオタード風にアレンジしたり、ブーツをはいたりしたのは、カッコよく立ち回りをしたかったからです。

『水戸黄門』にはレギュラーとして1986年から2010年まで、25年間にわたって出演している。その間、黄門役は初代の東野英治郎から西村晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗と代わった。

 東野さんは悪役を多くやられていたこともあって、それが逆に黄門様の優しさとして出ていたような気がします。明るい方でした。
 2代目の西村さんは、いつも自分で車を運転して撮影所に来られていました。
「ぼくはパジャマにアイロンをかけるんだ」とおっしゃるくらいダンディで、清潔感あふれる方でした。
 3代目の佐野さんは庶民的なおじいちゃんという感じ。撮影所に奥様といらしたこともあります。
 4代目の石坂さんは、とにかく博学。ロケの合間に黄門様のつえで地面に図や文字を書きながら、歴史の話をしてくださったことをよく覚えています。
 5代目の里見さんはもともと助さんをやっていた方ですが、そこは東映出身の時代劇スター。殺陣は上手だし、きらびやかで美しい黄門様でしたね。
 もう一人、長い間共演したのが格さん役の伊吹吾郎さん。汗だくになって立ち回りをした後、いつもおいしそうにビールを飲まれていました。格さんといえば、「この紋所が目に入らぬか!」と印籠を出すわけですが、伊吹さんは印籠の持ち方や出し方にもこだわり
を持たれていた、とってもデリケートな方です。

『水戸黄門』の撮影が行われたのは東映の京都撮影所。そして、由美かおるにとって京都は生まれ育った故郷でもある。