衝撃を受けた板垣瑞生の距離感の詰め方
――実際に出会ってきた人で、人との距離感や接し方で素敵だと感じた人はいますか?
「同世代の俳優ですが、『社内マリッジハニー』『ブラックシンデレラ』『ドロップ』で共演した板垣瑞生の距離感の詰め方は、いい意味で半端ないなと思っています。『ブラックシンデレラ』のときかな、ものすごく衝撃を受けましたね。人との距離感と、誰にでも自分らしくいられる姿。ラフさに“すげえ!”と思いました。年齢は僕のほうが上ですけど、キャリアは彼のほうが先輩で、当時よくご飯を食べに行って話をしました。もちろんお芝居も素敵なんですけど、彼のそうした姿勢にも影響を受けました。彼に出会ってなかったら、誠のオーディションにも落ちていたかもと思います」
――え? どういうことですか?
「なんとなくですけど。彼に出会う前の硬いままの僕だったら、誠は演じられなかったかなって。当時、板垣瑞生と出会っていたから、僕も少し変われていたというか。きっかけになったひとりだったので。もちろん板垣だけじゃなくて、いろんな人と出会っていくうちに、変わってきたんですけどね」
――ちなみに本作に出演したことで、チャレンジできたなと実感できていることを挙げるなら?
「この作品の撮影は、2022年のクリスマスから年末にかけての1週間での撮影でした。毎年、Amuseは年末に『ハンサムライブ』というライブをやっていて、2022年も29日と30日にライブの本番でした。いつも1カ月間稽古をして、最後の一週間はリハーサルをしたりするんですけど、僕は1日かけてやるリハーサルを半日にしてもらって、飛行機で移動して映画撮影と行き来してみたいなのを1週間ずっとやっていたんです」
――大変なスケジュールですね。
「でもそうしたスケジュールが分かっていたうえで、受けたオーディションでした。この作品の撮影も年末だと分かってましたし、ライブも年末だと分かってました。それを覚悟してチャレンジしたんです。体力的なキャパ的にチャレンジでしたが、人間ってやれるもんなんだなと思いました(笑)」
――チャレンジして乗り切れた。
「乗り切って強くなったと言い切ったらいい言い過ぎかもしれないですけど、少しは強くなれた気がします」
出会った人からの影響を受け、さらに演じた役によって自身の内側からも変化を生み出している兵頭さん。さらに自ら課したチャレンジもクリアした。25歳のいま、急速な進化のただ中にある。
ひょうどう・かつみ
1998年4月15日生まれ、福岡県出身。2018年、GYAOとAmuse共同実施のオーディション、第1回「NEW CINEMA PROJECT」の出演者部門でグランプリを受賞。翌年、『五億円のじんせい』で俳優デビューを果たし、同年の特撮テレビドラマ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』カナロ/リュウソウコゴールド役でテレビ初出演、注目を集める。23年、ドラマ『下剋上球児』で演じた根室知廣役でブレイク。ほか主な出演作に映画『消せない記憶』『愛のゆくえ』、ドラマ『ブルーバースデー』『ドロップ』『ドラフトキング』『CODE-願いの代償-』など。主演映画『18歳のおとなたち』が公開中。さらに『みーんな、宇宙人。』が控える。
映画『18歳のおとなたち』
監督・編集:佐藤周 脚本:磐木大
出演:兵頭功海、三原羽衣、黒田昊夢、久田莉子、黒田アーサー、中島知子、雛形あきこ
(C) ゴールデンシネマ
配給:TOHOシネマズ新宿ほか 公開中