舞台と映像作品の違いを実感した

 撮影の都合によって時系列が前後する映像作品では、シーンごとに気持ちを作っていくことが定石。その反面、舞台は話の最初から最後までノンストップで演じ、話の時系列が前後することはない。初めての舞台経験を通して、池村さんは「役になりきる」ことの大切さに気づいたのだ。

ーーなりきる、ということは、そうではない場合とどういう違いがありますか?

「“次はこうしなくちゃ”と思ってやっていると疲れちゃうんです。夢中になれないし。でも“なりきる”は、そうじゃないときよりも楽しく感じました」

 それはおそらく誰かが言語化して教えたものではなく、日々の稽古を重ねるなかで、自身で気づき、学び、骨身になったーーのだと、実体験の重みを感じさせる口調だ。

池村碧彩 撮影/三浦龍司

 さらに、舞台『SPY×FAMILY』でシルヴィア・シャーウッドを演じた元宝塚歌劇団宙組トップスターの朝夏まなとさんについて、「すごいなと思いました」と目を輝かせる。

「まなとさんは、普段話しているときはもうすっごく優しくて、ミュージカルの演技中はもうとにかくかっこよくて! 歌もダンスも演技も、全部迫力がありました。“かっこよかった!”しか言えないです」

ーー目標ですね。

「そうなんです!」