栄養にすることで違うなにかが生まれてくる

 自分をまっさらにせず、それまでにあるものに足して役を作っていくアプローチに変えて、ストレスも減ったようだ。

井浦「無理に変わろうとするとエネルギーも使いますし、精神的にもあまりよくないように思います。負担が大きいと体に悪い影響が出ることも。だから僕は変わるのではなく、全部を栄養にしていくんです。

井浦新 撮影/三浦龍司

 台本としっかり向き合っていれば、新しい表現は見つかりますから。無理に捨てて新しいものを引っ張り出してくるのは、限界があると思うんです。今までのものを栄養にした状態で新しい作品と向き合えば、自分の内側からしみだしてくるものがあるんです。それがその都度、新しい自分の個性になればいいなと、信じながらやっています」

 無理に変わろうとはせず、それまでの自分を保ちながら役に向かう。そこに新しいなにかが生まれ、変わっていく。井浦さんが演じる役は、間違いなく井浦さんでありながら、毎回、新鮮さを感じるのは独特なアプローチによるものかもしれない。『アンメット』『光る君へ』で、どんな演技を見せてくれるのか、注目したい。

(ヘアメイク:近藤あかね、スタイリスト:椎名倉平)

井浦新(いうら・あらた)
1974年東京都生まれ。1998年、映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。アパレルブランド〈ELNEST CREATIVE ACTIVITY〉ディレクター。サステナブル・コスメブランド〈Kruhi〉のファウンダー。映画館を応援する「MINI THEATER PARK」の活動もしている。
『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)では、主人公・川内ミヤビの主治医で脳外科教授の大迫紘一を演じる。

■作品情報
『アンメット ある脳外科医の日記』
毎週月曜日 よる10時~放送中
最新話配信中:https://tver.jp/series/srwy1lb14d