応援してくれるファンへの思い
ただ、結婚発表をしたとき私宛のリプライは”おめでとう“って書いてあるのに、直接その方のアカウントの投稿を見て見ると”悲しい“って書いてあるんです。だから応援してくれている人に対して、“今の時代、アイドルが結婚しても祝福をしてほしい”とは言いたくなくて。落ち込むということは、その方の人生に私というアイドルの存在が関わってきたからだし、そういうファンの方たちには“私のことを見てくれてありがとう”という気持ちで、今でも思っています」
結婚しながらでんぱ組.incの活動を続けていた未鈴さん。’21年に第一子を出産すると、育児休暇をとってグループ活動を休止していた。
「でんぱ組.incのメンバーは、年齢非公開なんですが、デビュー何年目かなって考えると、なんとなく年齢はわかってしまうと思うんですよ。たとえば、私が50歳や60歳になっても、でんぱ組.incを続けられるかな……って考えたら“それは無理かもしれない”って感じた。そうしたら、私ってなにもなくて。
手に職もないし、アイドル以外にやりたい仕事もない。“あれ、将来、私はなにをして生きていくんだろう?”って悩んだときに、アイドルの次に生きがいになるのは、もしかしたら“家族”かもしれないって考えました。もともと体調面での不安があり、妊娠ができる時期を逃してしまったら後悔をするかもしれない。だったら、そんな後悔はしたくないって産む決意をしました」
アイドルでありながら、出産というライフステージの変化を決意した未鈴さん。今でこそ、結婚や出産も受け入れられる風潮になってきたが、先駆者である彼女の決意は並々ならぬものだったと言葉の節々から感じられた。
(取材・文)池守りぜね
ふるかわ・みりん
香川県高松市出身。でんぱ組.incのメンバー。キャッチフレーズは「歌って踊れるゲーマーアイドル」。でんぱ組.incの活動以外にも、ゲーム関連の雑誌での執筆やゲームの動画配信なども行っている。2019年、漫画家の麻生周一と結婚を発表。2021年第一子となる男児を出産。