裏切られても、裏切る側にはなりたくない
ハシゴを外した相手とは「それっきり会ってもいないし、連絡も取っていない」と話す大沢さんは「その出来事がいちばんパッと思い浮かんだ、“やられた!”ですね」と続ける。
ーーということは、きっとお話できないことはたくさんありますよね。
「そうですね。最近は暴露とか告発をされる方が多いですが、僕は墓場まで持っていきます」
ーー墓場まで持っていく話、一体いくつあるんでしょう。
「まあ……数個です。でも別に、根に持ったりしていないです。そのときはキツいですけど、そんなところにエネルギーを使うよりも、もっと前を見なければいけないから。映画のこともそうです。もちろんショックでしたが、そのあと編集作業もしなきゃいけなかったし、公開されるまでやることはたくさんあった。お金を払わなかった人のことを考えてもしょうがないんです」
ーー仕事をするうえで信頼関係はもっとも大切ですし、まず“信じる”がないと人は動かないこともあります。そのバランスをどうやって取っていますか?
「難しいですよね。僕はバランスを取ろうとか、計算をしたこともないですけど、でも、裏切られても、裏切る側にはなりたくないです」
「“次、行こう”マインドですよ」と話す大沢さん。いくつもの修羅場をくぐってきたことなど微塵も見せない爽やかな表情は、内にも秘めた美しさがにじみ出ているようだった。
大沢樹生(おおさわ・みきお)
1969年4月20日生まれ、東京都出身。1982年にジャニーズ事務所に所属すると、1987年に光GENJIのメンバーとしてレコードデビュー。1994年に光GENJIを脱退。俳優やミュージシャンとして活動。2006年に自身の会社を設立し、映画制作業にも乗り出す。2022年11月に東京・北区区長選挙への出馬を表明するも、翌4月5日に不出馬を表明した。