クランクイン2日前にハシゴを外された

 大沢さんは2015年に元光GENJIの諸星和己さんとW主演を果たした『鷲と鷹』と、2016年公開映画『THE ACTORージ・アクターー』で監督を務めているが、後者でトラブルが起きていたというのだ。出資者が音信不通となり、消えたのである。

「ずっと“この日までにお金を振り込む”と言われ続けて、先延ばしになり、クランクインがもう2日後に迫るまでになっていた。それで最終的に電話で、“振り込めない”と言われました」

ーーなぜ出資者はそんな動きをしたんでしょう。

「僕を潰そうとしたんじゃないでしょうか。ただ、僕たちも落ち度はあります。契約書を交わしていなかったし、お金をいただいてから進めなきゃいけなかった。それで、もうスタッフも準備に動いているし、役者も抑えている状況でした。そんな、クランクイン2日前にハシゴを外されたとあって、スタッフに冗談半分で“そのロープ、かけられそうなところあるかな?”なんて言ったら“いやいや、そんな場所ないです!”と言われて。ということは、諦めずになんとかしろということなんだ、となったんです」

 立ち止まることも、投げ出すことも不可能な状況で、大沢さんは踏ん張ったのだ。

「短い時間で考えて、じゃあこうしようと。予算を大幅に減らして、ロケ地も減らして、極力経費を削るように進めたんです」

ーーそれでなんとか撮影を開始して?

「はい、なんとかクランクインできる状況にはなりましたが、当初の予算の3分の1くらいになってしまいましたね」

ーーその予算も自分たちで工面したんですよね。

「そうですね、僕と会社のスタッフで工面しました。そして撮影スタッフの方に台本を書き直してもらってね」

ーーみなさん、助けてくださったんですね。撮影に入ってからは順調に進みましたか?

「まあ、なんとか。事情を知っているのは一部のスタッフだけで、技術スタッフや俳優さんには事情は話していないし、そのあたりは見せずにやりきって。協力してくれた映画会社もありました」