言葉を交わさなくても伝わる信頼感
――現場では共演者の方とのコミュニケーションを大事にされたそうですが、監督ともかなり綿密に話し合いを重ねられた現場だったんですね。
「ただ、コミュニケーションがなくても成立するなと感じた関係もありました。今回の撮影を担当されたカメラマンの片村文人さんは、『silent』から引き続きだったんです。普段無口で淡々としているんですけど、とてもキレイな画を撮られる方です。片村さんとは言葉を交わさなくても伝わるものがありましたし、信頼していました」
――風間監督とは感性が似ているとのことですが、改めて風間監督との出会いは、桜田さんにとってTHE CHANGEと言えるものになっていますか?
「風間さんは、すごく自分にいい影響を与えてくれた方です。自分の演技に関することが確立できたのは風間さんのおかげだと感じています」
――それは具体的にどういったことでしょうか。演技面で監督とよく話し合いをよくするようになったとか?
「それもそうですし、すごく心地よい空気感を作ってくださる監督なので、自分のやりたいことをきちんとくみ取ってもらえている実感があります。それによって自分がとてもナチュラルにお芝居できるようになりました」
――子役時代から多くの作品に出演してきて長いキャリアのある桜田さんでも、かなり影響を受けた出会いだったと。
「だいぶ変わりました。言葉で言い表すのは難しいんですけど、感覚が違うんです。自分の演技スタイルが確立された感じがあります」
――それは本当に大きな出会いですね。数年前、クセのある役柄が多いので、これからはキラキラ系や映画のヒロインをやりたいとお話されていましたが、『交換ウソ日記』で実現しました。有言実行は意識していますか? やりたいことは口にするとか。
「あまり意識してないです。でも自然と叶っていっているかもしれません」
――ではこれからやってみたいジャンルをあえて口にしてみると?
「『バジーノイズ』は切なさもありましたが、ラブストーリーとはまた違うので、ガッツリ切ない系のラブストーリーをやりたいです」
21歳になり、大人度がアップしてきた桜田さん。これからどんどんがっつりラブストーリーも増えていくに違いない。
桜田ひより(さくらだ・ひより)
2002年12月19日生まれ、千葉県出身。子役からスタートし、14年の『明日、ママがいない』で注目を集める。18年からは雑誌「Seventeen」の専属モデルとしても活躍し、23年3月に卒業した。近年はドラマ『silent』で高い評価を得る。23年は主演ドラマ『沼る。港区女子高生』『あたりのキッチン』、『家政夫のミタゾノ』のヒロインなどで好演。主な映画出演作に『祈りの幕が下りる時』『男はつらいよ お帰り 寅さん』『おそ松さん』『交換ウソ日記』など。アニメ映画『雄獅少年/ライオン少年』で声優に初挑戦。第47回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。
●作品情報
映画『バジーノイズ』
https://gaga.ne.jp/buzzynoise_movie/
監督・脚本:風間太樹
原作:むつき潤
脚本:谷口恒平、沖野浩孝
Music concept design:Yaffle
主題歌:清澄 by Takumi Kawanishi
出演:川西拓実、桜田ひより、井之脇海、栁俊太郎、円井わん ほか
(C) むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
配給:ギャガ
全国公開中