“漢”という言葉がこれほど似合う男はいないだろう。俳優・市原隼人。『WATER BOYS2』、『ROOKIES』といった学園ドラマでの熱いキャラが印象的な市原さんだが、近年では『鎌倉殿の13人』、『正直不動産』などではスマートで大人のキャラを好演している。そんな市原に「THE CHANGE」について聞いてみた。【第4回/全4回】

市原隼人 撮影/有坂政晴

 人は誰しもが生きていく中で、自分の生き方に疑問を持つことがある。市原さんもご多分に漏れず、そう考えることが多い。

「20代半ばぐらいからは、武士道ではないですが、“自分の生きる意義ってどこにあるんだろう”というのをどこかで常に考えています。死んでからそれが見えてくるのか、生きている最中にそれを見出すべきなのか、見出せるのか。そんなことを考えることで、どんどん自分の視野や思考が狭まってくるんじゃないか……とか、人生の迷子になってしまうこともありました」

 「人生は死に至る戦い也」とは文豪・芥川龍之介の遺書の言葉だが、市原さんの話を聞いているとそれを思い出してきた。日々戦っている──ということなんですかと話を振ると、「休みたいですよね」と笑顔で返してくれたが、それもまた市原さんの本心なのであろう。

 プライベートでは現在37歳。世間的にはアラフォー世代だ。今後、変わっていくとしたら、どう変わっていきたいのか、という質問に対して、市原さんは20秒ほど黙考し、ゆっくりと話してくれた。

「話が重複してしまうのですが、やっぱり、日々重ねるごとに自分がどんどん判らなくなっていくんです。結局は自分は自制心とか理性で抑えられているんじゃなないかと。10代の若い頃はもっと自分の色があったと思うんです。好きな音楽、好きなライフスタイル、好きな服やブランド……そういうものがたくさんあったのが、段々段々社会の一員になっていくことで自分というものを見失っているのではないかという思いがあります」