脚本は作家が書くけど、ほとんどアドリブ

――『あぶない刑事』はアドリブが多いそうですが、一番アドリブが多かったのはどこの場面でしょうか。

「アドリブが多かった場面って、全部だよね。ほとんどアドリブ(笑)。もちろん脚本は作家が書くんだけど、現場で恭サマがピョコっと言ったことが面白いんだよね」

――その場で思いつくのですか?

柴田「台本を読んでいて、こんな感じにしようかなとかなんとなく考えていきますね。舘さんはどうしてもトオルのところに“トロイ動物”を入れたいって言ってましたね」

――ところでタカ&ユージが港署に現れるシーンが、異常なほどかっこよかったです。

「そうでした? 全く忘れてる」

――エレベーターで。

「ああ、エレベーターで。エレベーターで出てくるあれだけで、1時間半かかったんですよ」

――監督のこだわりでですか?

「こだわったんだと思うんだけど、どこにこだわったんだろう」

――いや、たしかに「かっこいい」と声が出そうになりました。

「そうなの?」

柴田「本当はアドリブで鷹山が入ってきたら“ダンディ鷹山だ、ダンディ鷹山だ”“誰?”“ダンディ高野?”“ゲッツ!”って入れてって提案したんだけど、却下されました(笑)」

 タカ&ユージがエレベーターから降りて透のいる港署の刑事課に入っていく。短いシーンだが、原監督が1時間半かけたというのも、観れば納得の場面である。

舘ひろし(たち・ひろし)
1950年3月31日生まれ、愛知県出身。76年に映画『暴力教室』で俳優デビューを飾る。ドラマ『西部警察』をきっかけに石原プロに入社する。36歳の時に『あぶない刑事』のタカ役でブレイク。18年には『終わった人』で第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞を受賞した。近年の主な映画出演作に『アルキメデスの大戦』『ヤクザと家族 The Family』、土方歳三を演じて話題を呼んだ『ゴールデンカムイ』など。現在、ドラマ『ブルーモーメント』に出演中。

柴田恭兵(しばた・きょうへい)
1951年8月18日生まれ、静岡県出身。1975年に劇団「東京キッドブラザーズ」に入団。1986年、ユージを演じたドラマ『あぶない刑事』でブレイク。ドラマ『はみだし刑事情熱系』『ハゲタカ』など、さまざまな作品で演技派として認められている。主な出演映画に『野蛮人のように』『福沢諭吉』『集団左遷』『半落ち』『北のカナリアたち』など。今年2月から放送されたドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』での演技も支持を集めた。

●作品情報
映画『帰ってきた あぶない刑事』
https://abu-deka.com/
監督:原廣利
脚本:大川俊道
出演:舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、土屋太鳳、西野七瀬、早乙女太一、ベンガル、長谷部香苗、杉本哲太、岸谷五朗、吉瀬美智子
(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会
配給:東映
5月24日(金)公開