『フルーツバスケット』は「私にとっての教科書でした」
――今でも好きな作品ですか?
「もちろん。自分の中ですごく大事な、特別な作品です。最初に『フルーツバスケット』に出会ったとき、私は小学生でした。少女漫画なので恋愛要素があるのはもちろんですけど、漫画というひとつのエンターテインメントの中で、そのほかのことについても、いろいろな気持ちを教えてもらったんです。私にとっての教科書でした。主人公の透くんの価値観は、今まで自分が触れたことのないもので、“こんな人になりたい!”と思っていました。子どもだった自分にとっての理想の大人像でした」
――はじめて憧れた大人だったんですかね。
「透くんも学生なんですけど、自分にとってはお姉さんだし、こんなふうに生きられる人になりたいと思いました。すごく懐が大きいんです。集団生活の中では、人と比べることって絶対に起きてしまうことだと思うのですが、『フルーツバスケット』を読んでいると、比べるということを手放してみたいと思えました」
――人と比べることを手放す。
「一人でいても怖くない。一人でいる時間をすごく肯定してくれる作品だと、とても感じました」