世の中のために役立つようなことをしたい
いきなりメーカーに電話をする行動力もすごいが、あきらめずに次の一手を探すのはもっとすごい。
「同じ勉強するなら世の中のために役立つようなことをしたいですからね。そういう変な正義感みたいなものだけはあるんですよ。おかしなことに(笑)」
目標がはっきりしたので、達成のために計画も立てた。最後の一年は論文に集中できるよう、最初の三年間で卒業に必要な単位はすべて取ってしまおうというのだ。
「その時に決めていたんです。優秀な成績を目指さなくていい、赤点さえ取らなければいい、って。だって、卒業証書には『この人は及第ギリギリでした』なんて書かれないでしょう?(笑)。単位を取れれば十分。私は優秀な人間じゃないですから、4年目に研究に没頭できたらそれでよかったんです」
タツヨさんの思いに担当教授も応えた。
「放送大学の酒井豊子教授と文化学園大学の田村照子教授の指導を受けて、自分を被験者にして人工胸をつけた状態での発汗のデータを取り、論文としてまとめることができました」