コンプレックスをバネに奮闘した日々

 周りから見たら順風満帆に見える柚希さんのキャリアだが、本人はプレッシャーを抱えていた。しかし、それが舞台に立つうえでのバネになった。

「私が稽古を頑張ったのは、芝居も歌も全然できないというコンプレックスがあったから。稽古場でも、先輩方や先生から“こうした方が良い”とアドバイスを受けて、日々稽古をする感じでした。何から何まで周りから教わりながらやっていましたね」

 仲間たちと切磋琢磨した宝塚の日々は、柚希さんの中で代えがたい思い出だ。

「宝塚は自分たちの劇場があって、衣装部からなにもかも同じ建物の中にあるので、“次は衣装合わせに行ってきます”って言った後に、“今度はカツラを合わせに行きます”って移動できるのが素晴らしかったです。当時は1日2公演など肉体的には大変でしたが、すごく楽しかったんですよ。退団してからも、宝塚のみんなとは”大変なときほど、後々になって思い返すと楽しかった“って話していますね」
 
 親の勧めで受けた宝塚が人生の転機となった柚希さん。謙虚に努力したからこそ、周りが才能を認めていき協力していったのではないだろうか。撮影中の立ち振る舞いからも、かっこよさがにじみ出ていた。

柚希礼音(ゆずき・れおん)
大阪府出身。俳優。1999年85期生として宝塚に入団。初舞台後、星組に配属。新人公演や主演を重ね、‘09年に星組トップスターに就任。6年に渡りトップスターを務めた。’15年5月に退団後も、ミュージカルやコンサートなど精力的に活動。第30回松尾芸能新人賞、第65回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第37回菊田一夫演劇賞を受賞。退団後の主な出演舞台に『COME FROM AWAY』、『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』『マタ・ハリ』など。‘24年8月には、今年で開催5回目を迎える『REON JACK5』の公演を控えている。

『REON JACK5』
出演:柚希礼音 
汐月しゅう、天寿光希、麻央侑希、綾凰華、川本アレクサンダー、東島京
<日替わりゲスト>※出演順
東京公演:加藤和樹、黒羽麻璃央西川貴教
大阪公演:夢咲ねね、井上芳雄大貫勇輔

東京公演:ヒューリックホール東京2024年8月9日(金)~8月11日(日)
※一般発売日2024年7月6日(土)10時~
大阪公演:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ2024年8月29日(木)~8月31日(土)
※一般発売日2024年7月20日(土) 10時~
チケット料金:12500円(全席指定・税込)
チケット情報:https://reonjack.com/