40年苦楽を共にした新感線への思い

――今回の『バサラオ』は、福岡県の博多座をはじめ、東京の明治座、大阪のフェスティバスホールと大きな劇場で上演されますが、劇場のサイズ感も舞台作りに影響はありますか?

「昔、『スターライト・エクスプレス』っていうローラースケートを使ったミュージカルがあったんですけど、それと似たようなものを(作家の)中島かずきさんといのうえさんが青山円形劇場でやろうと言い出して。だけど、青山円形は狭くて曲がりきれないから、みんな板の外に落ちていくんです。演じる方は必死にやっていたんだけど、2人からすれば“この間はできたんだから、今回もやれるよ”みたいな感じで。あの2人の頭の中は今も昔とあんまり変わってないです。

 最近は使わせてもらう小屋が大きくなってきて、その分実現可能なキャパにはなっているけど、今度は予算が足りないみたいなことになる。サイズが変わったら変わったなりのことを考えなきゃいけないんだろうけど、そこを無茶するのもうちの劇団の味というか、強みなのかな。もうあの2人の悪口しか言っていませんけど(笑)」

――それでも、40年苦楽を共にしてきた劇団への思いは人一倍なのでは?

「40年以上この劇団でやってきて辞められないっていうことは、まだできてないことがいっぱいあるんだろうね。きっと、いのうえさんも中島さんも“いや、まだできるはずだ”みたいな夢みたいなことを思っているんじゃないですか?。だからキャスト、スタッフも含めて、なんとかそれにお応えしたいなと思うから、なかなか解散できないんですよ」