今春で芸歴27年目を迎えたトータルテンボス。「ハンパねぇ」「しのびねぇな」「かまわんよ」等々、彼らの漫才でおなじみのフレーズは、リアルタイムでそのブレイクを観ていた世代であれば現在でもつい口をついて出てくるほど強いインパクトを残した。現在は、地元・静岡でのレギュラー番組やコンビでのYouTubeチャンネル、麻雀や野球、ゴルフなどそれぞれの趣味を活かした番組出演と、マイペースに多方面で活躍している。さらに去年はYouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」のドッキリ動画が1500万回再生の大バズり。あらためてそのスキルを見せつける格好となった。50歳を目前に控えた今振り返る、若手時代の「THE CHANGE」とは――。【第3回/全5回】

トータルテンボス

 

 2004年に『M-1グランプリ』決勝に初進出するも、翌年は準決勝で敗退したトータルテンボス。2006年には漫才を磨くべく全国47都道府県を回る単独ライブツアーを開催し、その甲斐あって同年は決勝に返り咲く。前回出場時より順位は2つあがって5位。この年は『爆笑オンエアバトル』でも2度目となるチャンピオン大会出場を果たした。

 振り返ってみれば、いずれも若手の登竜門でありながら『オンバト』と『M-1』の両方でコンスタントに好成績を残し続けた漫才師は多くない。そこには「ウケる笑い」の違いがあった。

藤田「合う・合わないはすごくありましたね。たとえば千鳥なんかは『オンバト』はまず合ってなかった」

大村「『M-1』で花開くことになった人たちは『オンバト』は合ってなかった人が多いですよね」

藤田「逆に、『オンバト』ですごかった人たちが『M-1』の出現によってめくられるっていう事態も起きてました。調子良かったのがヘコむというか、『M-1』で損するというか」

大村「それくらいの時期から、大衆にウケる笑いとお笑いコア層にウケる笑いは違うんだ、という感覚がおぼろげに出てきましたね。だから僕らは『M-1』はこういうネタ、『オンバト』はこういうネタ、って使い分けてました」