今田耕司さんにお酒を注ごうとしたら「結構です」
1993年にスタートしたフジの『殿様のフェロモン』では、今田耕司さんと共演することになります。彼とはこれが初共演。今田さんからしてみれば、東京でダウンタウン関連以外でレギュラーを務めるのは、初めて。東京でなんとしても地盤を築きたいと考える今田さん的には、「中山秀征をつぶせ!」と思ってたそうで、後で聞いたら「懐に油紙に包んだチャカを呑んで収録に向かってた」という意気込みだったんだとか(笑)。
番組スタート前の飲み会から空気が悪いんですよね。今田さんには、僕がお酒を注ごうとしたら、「結構です」って言われるし(笑)。
僕はテレビバラエティのやり方で「番組を和気あいあいに進めよう」という考えですが、当時の今田さんは“芸人”として「誰が一番面白いのか証明してやる」みたいなスタンスだったようです。こっちはしっかりプロレスをするのに、向こうはUWFみたいに容赦なく関節技を決めてくるんです(笑)。
スタッフが「カタいから“ヒデちゃん”って呼んで」と言うと、「たいして仲良くない奴のことを、なんで、そんな呼び方せなアカンねん」ってことで、最後まで“中山君”って呼ばれていました(笑)。2人がバチバチするのが生放送で流れてしまってましたね。
ただ、ずっと後になって、今田さんとは、一緒に飲みに行きました。そのとき、「あの頃、テレビを知っていたのはヒデちゃんのほうだったね」って言ってもらえました。「今は、あのときにヒデちゃんがやっていた通りに俺はテレビをやっているよ」って(笑)。
『DAISUKI!』も、今になって、「今、あんな番組はないよね」「あんな番組をやってみたい」なんて、ちゃんと評価してくれる人もいます。
当時、テレビから発信したエネルギーが今、答えを出してくれているようで、すごくうれしいことですね。
中山秀征(なかやま・ひでゆき)
1967年7月31日、群馬県藤岡市出身。1984年に渡辺プロダクションに入所。その後、40年以上にわたり、バラエティ番組や情報番組のMC、俳優、歌手として、テレビの第一線で活躍している。
『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』
群雄割拠の芸能界で、なぜヒデちゃんは42年にわたりサバイブできたのか。志村けん、萩本欽一、上岡龍太郎ら大スターとの逸話を交え、深くて明るい“戦略”を初公開!