香港や台湾のファンは訪れるたびに驚くほどの歓迎をしてくれる

――台湾での人気は、その後、中国にも広がっていったわけですね。

「香港で人気のあるエリック・ソンさんと北京語でデュエットしたレコードを出したこともありました。香港公演は98年が最初でしたが、やはり、たくさんの方が来場してくださって」

――どんなコンサートに?

「 『ひとつ屋根の下2』(前同)の挿入歌だったLe Coupleさんの『ひだまりの詩』を歌ったんですが、お客さんとの大合唱で、すごく盛り上がったんですよ。皆さん、日本のドラマをご覧になっていて、私が演じた小雪ちゃんを、酒井法子に重ね合わせていたようでした」

――それから四半世紀以上になりますが、酒井さんにとって、香港や台湾のファンは、どんな存在ですか。

「訪れるたびに驚くほどの歓迎をしてくれて、最近ではSNSを通じて、たくさんの応援メッセージを送ってくださる。かけがえのない存在で、いつもパワーをいただいています。もう、“謝謝”の言葉しかありませんね」

――今回も盛り上がること確実ですね! その香港公演の直前となる先月には、舞台『Alice in Far East Wonderland〜極東のアリス〜』に出演しました。

「ベリーダンサーの中村インディアさんが、出演だけでなく、演出・脚本・構成・振付のすべてを手がける意欲的な作品です。中村さんと共演するのは昨年の『令和源氏オペレッタ』に続いて2回目ですが、今回も歌とダンスで〝愛の祝祭〟が繰り広げられます」

――酒井さんの役どころは?

「不思議の国を支配する美しくも恐ろしい「ハートの女王」を演じます(笑)。7月12日からアーカイブ配信が始まっていますので、ご覧いただけたら嬉しいです」

――官能的でミステリアスな世界観は、これまでの酒井さんには、あまりなかったようにも……。

「確かに。私はショーガールの世界を描いたミュージカル映画『バーレスク』に魅了されて、8年ほど前からダンスを習い始めたんですが、そこで出会ったダンサーさんたちと交流ができたのが、今回の舞台のきっかけなんですよ」

――そうだったんですね。

「皆さん、とてもクリエイティブでハイレベルな踊りを披露する憧れの存在ですから、昨年、中村さんから“一緒にどうですか”と声をかけていただいたときは、嬉しいと同時に、“私に務まるだろうか”という不安もありました」

――今年もキャスティングされたのは、信頼された証しでは?

「だとしたら光栄です。私は不器用で、いつも“これでいいのかな”“もしかしたら向いてないのかな”と思いながらやっているようなところがあるんですね」

――ちょっと意外です。

「でも、昨年から始めた配信番組『のりニコッ!』(ニコニコチャンネル+)の初回ゲストとして出演してくださった由紀さおりさんの言葉が、私の道しるべになりました」