昭和・平成・令和と時代が変わっても、劇場のスクリーンでもリビングの液晶でも、藤竜也さんは変わらぬ圧倒的な存在感を観る者に突きつける。現在82歳、俳優歴は62年目になる。さまざまな人間を演じ、その名を海外にも轟かせる名優に聞く、THE CHANGEとは。【第4回/全4回】

藤竜也 撮影/三浦龍司

 藤竜也さん、82歳。俳優人生のはじまりは1962年。ゆうに半世紀を越える年月を、俳優としてすごしていることになる。そんな人生の中で、転機は「職業にかかわること」だという。

「“大島渚さんに会ってみませんか?”という言葉が、転機のひとつです」

 言葉の主は、映画監督の崔洋一さん。当時、藤さんが出演したテレビドラマシリーズの助監督だった。崔監督が藤さんと大島監督を引き合わせた理由は、ほかでもない、藤さんが主演を務めることとなる大島監督作『愛のコリーダ』(1976)が背景にあった。

 大島監督からのオファーを受け、台本に触れた藤さんは、同作を「ラブストーリーだと思った」と話す。

「セクシャルなシーンも、ラブストーリーだな、と思いました。手を握ってハートマークやお花がいっぱい浮かぶような、キレイなラブストーリーもいいよね。けれども、ベッドで愛し合うこともラブストーリーですよね。ただ、そのやり口はみんながみんな使えないわけで。それを大島さんは、果てしないベッドシーンをつなげてラブストーリーを作っちゃったんです」