「たった一言でもめちゃめちゃ嬉しかったですね」

 渋谷を拠点に活動していた川嶋さんにとって、特に思い出深いストリートライブの場所はJR渋谷駅のハチ公前だ。

「今、喫煙所になってるマークシティの前のエリアです。人通りが激しくて、色んな方が立ち止まって聞いてくださるんですよね。そこで出会った人たちがいます。

 子どもさんや学生さんが当時はすごく多かったですけど、サラリーマンの方々とかお年寄りの方もたまにいらっしゃったりして。CDを1枚300円で手売りしてたんですけど、そのときに一番触れ合える瞬間があって、“がんばったね”とか“すごく歌声に感動しました”みたいなこと言ってもらえると本当に励まされて。 たった一言でもめちゃめちゃ嬉しかったですね。

川嶋あい 撮影/桜井恒二

 あとは私設のファンクラブも作ってくださったりして。よくライブなどに来てくださる方々は顔も名前も覚えてます。交流も深いです」

 現在も多数のストリートミュージシャンが存在する。川嶋さんがストリートライブを行っていた00年代初頭との違いはあるのだろうか?

「今はライブをやれる場所が増えましたよね。昔はやってる人も少なくて、私自身はしょっちゅう警察の方に注意されて撤収、という感じでした。ハチ公前でやってたというのもあるんですけど、今はむしろストリートミュージシャンを歓迎している。“どうぞここで歌っていいですよ”、みたいな。

 そういう駅も増えたりとかしてるので、やりやすさはある。音楽で名を馳せる夢を叶えやすい環境に置かれてるのかもしれないから、どんどん勇気を出して踏み出してほしいです」