2000年代前半、透き通るような声でストリートライブを行って「路上の天使」と呼ばれ、恋愛バラエティー番組『あいのり』(フジテレビ系)の主題歌「明日への扉」などで話題を博してきた川嶋あいさん。幼少期から数々の「THE CHANGE」を経験してきた彼女に、これまでの人生やこの先の未来について語ってもらった。
【第2回/全5回】

川嶋あい 撮影/桜井恒二

 デビュー20周年を迎えたシンガーソングライターの川嶋あいさん。2023年8月20日の単独公演の開催を最後にすると発表した。声帯の手術後、リハビリを続けてきたが「現在も不調が続いている」ため、ワンマンライブは一区切りを置く「THE CHANGE」を決意した。川嶋さん本人は、こう語る。

「5、6年ぐらい前から声の不調を感じ始めて、去年に声帯の手術をしました。その後経過を見ていたのですが、全く改善が見られなくて……。トレーニングで補えるところは補い、後退と前進を繰り返しましたが、自分が乗り越えたいと思ってるイメージは乗り越えられませんでした。

 天使の歌声と言われる川嶋さんをして“乗り越えられなかったイメージ”とは一体何なのか?

「昔の曲とか、過去に発表した曲は忠実に再現したいと思っているんですよね。今の自分の歌声で、今の自分の表現方法でこの曲を歌いたくないという、そういう思いがすごくあるんです。

 一人ひとりにアンケートをとったわけではないですけど、少なからずみなさんの中ですごく愛されている曲にかんして、“当時の自分の歌声で歌ってほしいんじゃないか”という思いが強くあります。ところが今はなかなか思うように歌えない、というところでしょうか」