ソロデビュー10周年目も「ファンキー加藤」はステージで歌い続ける

「加藤俊介(本名)はネガティブな男だけど、ステージに上ったとたんにファンキー加藤として別人になれる。そもそも『ファンキー加藤』なんて変な名前をつけたのも、自信のなさの裏返しです。せめて活動名くらい“明るくはじける男になりたい”という、願いが込められているんです。
 そんな僕が、書いてるときには半信半疑の歌詞を、ステージで歌い続けていると、だんだんと本当に思えてくるんです。そうやって歌い続けて……例えば、ある曲の中で“夢はかなう”と歌ったとします。それを聴いた1万人の中の一人くらいは、夢をかなえられていると思うんですよ。そうなれば、絵空事だったはずの歌詞が真実になるんです。それってなんかすごいなって思いますね」

 ナイーヴさと熱さを併せ持つ加藤さん。苦しみを抱えながら、もがきながら、それでも一歩踏み出そうとするからこそ、その言葉は多くの人に響くのだろう。最後に、読者にメッセージをお願いしたら、少し照れたように笑いながら、この言葉を贈ってくれた。

「あの……、パクリになっちゃうんですが、『迷わず行けよ、行けば分かるさ』という言葉があるんです。これは、敬愛するアントニオ猪木さんの言葉で、僕の人生のモットー、指針でもあります。
 弟の結婚から、ファンモンを組んだとき、ソロになったこと、そのときどきに迷いながらもずっと進んできた、足を止めずに来ました。0を1にしなければ、良くも悪くも何も変わらないじゃないですか。もし仮に悪くなったと思ったら、良くするための対策を考えますよね。停滞するのが良くないと思うので、猪木さんのこの言葉を信じてこれまでやってきましたし、これからも足を止めずに行きたいですね」

ファンキー加藤 撮影/有坂政晴

ファンキー加藤
​1978年12⽉18⽇ 生まれ、東京都⼋王⼦市出身。’04年1⽉ 地元⼋王⼦でFUNKY MONKEY BABYSを結成し、リーダーを務める。’06年1⽉ 『そのまんま東へ』でメジャーデビュー。’09年より『NHK紅⽩歌合戦』に4年連続出場し国民的グループになるも、’13年6⽉に解散。’14年よりソロアーティストとして活動をスタートし、同年9⽉には⽇本武道館のステージに立った。ステージ上に酸素缶が欠かせないほど、熱量が高く、距離感の近いパフォーマンスでファンを捉えている。’16年には、映画『サブイボマスク』で初主演し、俳優業にも進出。ソロデビュー10周年となる’24年7月には、初のソロベストアルバム『My BEST』をリリース。9月からは全国10カ所を巡る「ファンキー加藤 10th Anniversary LIVE TOUR Your VOICE」を開催する。