「ありました~」って喜んでいる動画がカメラに

鎌田:ほぼないですよ。だってHIKAKINはトップですから、クリエイターとして。自分のことは一番、自分でわかっているし。ただ、経営のことに関しては、こっちの言うことを聞いてくれましたね。
 HIKAKINのことを端的に表現しろと言われたら、誰よりも優しいし、誰よりもいろんなことに気を遣う。さっきの細かいじゃないけれど、そんなところまで考えるんだ、みたいな人物ですね。経営者としての私が考える細かさとはまた違う。
 クリエイターとしての細かいところは、自分の見え方だけじゃなくて、人の見え方みたいなところも全部、気を遣っている。2人だけのエピソードとしては、10年前、HIKAKINがなくした財布が出てきて「ありました~」って喜んでいる動画がカメラに残っているくらいですね。ともかく、クリエイターHIKAKINは素晴らしいと思います。

――さて、このたび、著書『名前のない仕事』(ダイヤモンド社)を上梓されました。この本は、どのような内容でしょうか? また、どういった人に読んでほしいですか?
 
鎌田:19歳から社会人として働き始めまして、光通信という会社におりました。29歳のタイミングでUUUMという会社を創設させていただいて、ちょうど40歳になるタイミング、年齢的には39歳で去年、卒業させていただいた。
 ザックリとこの20年間を自分としてもまとめておきたいし、いろんな思い出がアッという間に過ぎていってしまっているので、それを形として、しっかりと残しておきたい。
誰に読んでもらいたいかというと、一緒に働いた仲間たち、それはYouTuber と呼ばれるクリエイターも、一緒に働いていた社員も、そしてUUUMという会社を大きくすることに対し、一緒に手伝ってもらった皆さんに読んでもらいたいと思っています。
 内容は40歳の私の体験なので、20~40代の方が中心かもしれませんが、これから起業する、もしくは就職されていてもいつか…とか、もしくは引退している方でも今後…とか、こういう経営者が一人いて、こういう事業をやってきたんだなっていう、その道中を楽しんでもらえる内容にはなったと思うので、幅広い方に読んでいただきたいと思っております。

――確かに、鎌田さんの体験を追体験しつつ、また、仕事における心構えやノウハウなどのヒントも随所にあって、読みごたえがありました。ちなみに、鎌田さんはこれから、どう過ごされる予定でしょうか?

鎌田和樹(かまだ かずき) 1983年東京都生まれ。2003年、19歳で大手通信会社「光通信」に入社し、総務、営業など多岐にわたる分野での好成績が認められて携帯電話の販売を任され、最年少の執行役員に。その後、日本のYouTube界のパイオニアHIKAKINとの出会いを経て、2013年、クリエイター(YouTuber)のマネージメント・サポートを中心とする「UUUM」の前身となる会社を立ち上げる。2023年8月、広告事業などを手掛ける「フリークアウト・ホールディングス」との資本提携を発表。株式公開買い付け(TOB)により、鎌田氏は保有株をすべて売却し、9月15日付で取締役会長を退任した。同時に名誉顧問に就任し、後に卒業。8月28日、単独での初の著書となる『名前のない仕事』(ダイヤモンド社)を上梓した。