専修大学在学中に『ぎんざNOW!』の「素人コメディアン道場」17代目チャンピオンとなり、芸能界入り。32年続いた『ごきげんよう』の司会で知られる小堺一機の「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全2回】

小堺一機 撮影/イシワタフミアキ

 父は寿司職人です。でも跡を継ぐ気はなく、かといって芸能人になりたかったわけでもありません。

 芸能界入りのきっかけは、大学生のときに『ぎんざNOW!』(TBS系)の「素人コメディアン道場」という視聴者参加コーナーに出たこと。でも、自分で応募したんじゃなくて、友人が勝手にハガキを出して、オーディションを受けることになっちゃったんです。それで合格して5週勝ち抜き、第17代チャンピオンに。やがて『ぎんざNOW!』のレギュラーにもなり、徐々にテレビ番組の前説のような仕事も入ってきた頃には、もう引き返せなくなっていたんです。就職活動もしていなかったので、オヤジには「3年間だけやらせてください」と頼みました。

 でも、テレビの前説やイベントの司会をしているだけじゃダメだと思い、当時、開設したばかりの「勝アカデミー」に入ったんです。勝新太郎さん主宰の俳優養成所で、僕は第一期生。ルー大柴が同期です。講師は森重久彌先生、岸田森さん、津川雅彦さん、太地喜和子さんといったそうそうたる方たち。

 勝さんご本人の講義もあり、ときには僕たちが飲んでる居酒屋にも姿を現しました。で、いきなり店員に「今から貸し切りにさせてくれ」。他にもお客さんはいるから、店員はオドオドしている。すると、「貸し切りだと言ってるだろ!」とすごむんです。「確認してまいります」と、店員が奥に引っ込み、再び戻ってくると、今度は「いいんだよ。勉強させてもらったから」とやさしい声で、パッと1万円を出すわけです。