俳優・野添義弘はこれからも劇団・SETを起点に演じ続ける
公演の話をする野添からは、劇団愛があふれている。野添にとって、劇団の魅力とは何なのだろうか?
「同じものをやりたいと志して集まってくるので、目指す方向が一緒というのは、劇団の良さだと思いますね。ぼくがSETに入ったころは第二次劇団ブームで、SETをはじめ、劇団東京ヴォードヴィルショー、劇団東京乾電池、劇団青い鳥、劇団3○○など個性的な劇団がたくさんあって、それぞれに惹(ひ)かれた若い人が“ここでやりたい”とオーディションを受けたものでした」
劇団東京ヴォードヴィルショーを率いているのは、佐藤B作。柄本明、ベンガル、綾田俊樹によって結成された東京乾電池。青い鳥には木野花が、3○○には渡辺えりと、現在、日本の芸能界を支えている俳優が数多くいる。
「ぼくは、初めて見た劇団がSETで、どうしてもここで役者をやりたい、と門を叩いたわけですけど、やっぱりSETで良かった。SETが良かったと思っています」
──では、SETの役者以外の道は考えたことがない?
「いや、ありますよ(笑)。車の運転が好きだから、カーレーサーに憧れたこともあるし、長距離トラックの運転手になって、大声で歌いながら日本全国まわるのもいいなぁ、とか」
しかし、野添は劇団というトラックに乗る人生を選んだ。
野添義弘のTHE CHANGEは、SETに入ったことなのだろうか?
「それ以前の、大阪で着ぐるみを着てショッカーをやりながら、どうしてか分からないけど“役者になるために東京へ行かなくちゃ”と思った瞬間ですね。それまでほとんど何も興味を持たなかったぼくが、自分で決断したことだから。そして、なぜ43年も続けているかというと、役者という仕事をめちゃくちゃ好きなわけじゃなく、嫌いじゃないから(笑)。だから続けていられるのだと思っています」
野添義弘(のぞえ・よしひろ)
1958年7月3日生まれ、大阪府出身。1982年に劇団スーパー・エキセントリック・シアターに入団。以来、劇団の本公演に出演するとともに、アクション、殺陣の振付も担当。主な出演作は、劇団本公演のほか、映画『真田十勇士』(’16年)、ドラマ『ワカコ酒』(BSテレ東)、『アンナチュラル』(TBS)、『コドモ警察』(フジテレビ)、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、連続テレビ小説『虎に翼』、『新宿野戦病院』(フジテレビ系)、舞台『志村魂』(’08~’19年)『魔界転生』(’21年)など。
◆作品情報
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
創立45周年 第62回本公演
『ニッポン狂騒時代 令和JAPANはビックリギョーテン有頂天』
2024年10月17日(木)〜10月27日(日)
サンシャイン劇場
脚本:吉井美奈子 演出・三宅裕司
出演:三宅裕司 小倉久寛 劇団スーパー・エキセントリック・シアター
https://www.set1979.com/stage/2024/
第35回下北沢演劇祭参加作品
タカハ劇団 第20回公演『他者の国』
2025年2月20日(木)~2月23日(日)
本多劇場
脚本・演出:高羽彩
出演:平埜生成 小西成弥 野添義弘 土屋佑壱 西尾友樹 本折最強さとし近藤強 田中真弓 柿丸美智恵 平井珠生 丸山港都 高羽彩
https://takaha-gekidan.net/