皆さんは、「読むと死にます」ヨムシヌ本をご存じだろうか? 登録者数30万人超、動画再生数26万~110万回を誇るYoutubeチャンネル「フェイクドキュメンタリーQ」(以下、Q)から生まれた話題沸騰中の書籍で、チャンネル内で公開されている映像をもとにしたショートホラー集である。情報解禁日にAmazonの予約1位を獲得、発行から数日で増刷が決定し、累計発行部数6万部を突破するなど、いまホラー界で大きな注目を集めている。
 そこで「双葉社 THE CHANGE」では、同チャンネルの熱狂的なファンだという2024年の「M‐1グランプリ」にて‟ずっとキモダチ“のキャッチフレーズも話題になった、漫画家としての経歴も持つ、お笑い芸人マユリカの中谷祐太さんと、Qの寺内監督に対談を依頼。監督のホラーとの出会いから、Q撮影の舞台裏、お笑いとホラーの意外な共通点まで、存分に語り合っていただいた。では、猛暑を忘れる「真夏の夜の恐怖トークバトル」をご堪能あれ。ただ、くれぐれも「キムラヒサコと目を合わせないでください――。」

マユリカ・中谷(左)と寺内康太郎監督。撮影/小島愛子

たまたまカメラが回っていたんじゃないか、そう錯覚できるくらいのものを撮りたい

中谷「『怪談』の動画では、倒れた木とか、潰れた廃車なんかが出てきますよね。あれも本物なんですか」

寺内「もちろんです。ぐしゃぐしゃに壊れた車があったので、そのまま活かしています。セリフに関しても、出演者には、設定だけ話して、あとは本人の思う言葉でやってもらいました。
 そういう時、出演者はなんとか結末に向かって話そうと頑張るんですが、その時は一旦止めます。先を知っている演技になるので。理想は1秒先のこともわからない演技です。
 漫才でもそうじゃないですか? オチはわかっているけれど、そうじゃないように見せるわけで。稽古というより、二人の関係から出てくる素質というか。マユリカさんはあまり稽古をしないと聞いいたんですけど、だからこそ舞台のその場で、生の雰囲気が出てくるんじゃないですか?」

中谷「ははは(笑) ありがたいことに舞台出演の本数が多いので、もう舞台を練習代わりにしています(笑)」

寺内「そこにマユリカさんの魅力があると思うんです。お二人の人柄の魅力が強い。それが理想ですよ。映像でも、たまたまカメラが回っていただけなんじゃないか、そう錯覚できるくらいのものが撮れたら凄いですよね。
 今はYouTubeで芝居じゃないリアルな映像がたくさん流れています。だから視聴者も目が肥えているんです」