自分でページをめくることの怖さと厭さ、だからQは書籍と相性がいい
――中谷さんは書籍になった新刊『フェイクドキュメンタリーQ』もご覧になったということで、そちらの感想もお聞かせください。
中谷「映像で観た場面が、本だとモノクロの写真だったりするんですけど、昔読んだオカルト本みたいな感じで、すごくイヤな感じです。カラーの映像とはまた別のリアリティが出てくるというか。本ならではの気持ち悪さがありますよ。
あと、動画だとサラッと観ただけの細かい情報も、本だと文字でじっくり読まされて、自分でページをめくらないと進まないので、自分の手で次を見せられるというイヤさもあるんです」
寺内「実はテレビ東京の大森時生さんも同じようなことを仰っていました。「自分でページをめくらないといけない怖さがある」と。そう思うと、Qと書籍は実は相性が良いのかもしれません」
中谷「『オレンジロビンソンの奇妙なブログ』に出てくる、「崩れた女の顔」なんかは、僕は怖がりなんで動画ではじっくり見ていません。でも本だと見ないと次に進めないので、あれは本当に最悪でしたよ(笑)」
寺内「そんな中谷さんがQっぽいものを作るとしたら、どんなシーンが浮かぶか聞いてもいいですか」
中谷「ええっ…突然ですね(笑)。
そうですね…。僕は小さい頃からエレベーターの扉の隙間にある暗闇とかが怖かったんです。だから、舞台はエレベータ―がいいな。
郊外の団地のエレベータ―なんですけど、一人のおばあちゃんが扉に挟まれながらボーっと立ったまま、扉がガッチャン、ガッチャンと閉まっては開く…ということを繰り返している。心配した孫が迎えに行くと、「あっち側は危ないから、帰っておいで」と言っている。と呟くシーンから展開する…なんてどうでしょう」
寺内「ほう…いいですね。パッとシーンが浮かぶのはさすがです。
本人には自然でも、傍から見ると奇妙なものってたくさんありますよね。でもそれが異文化体験になったりするし、たとえば映画を観ることで、アメリカってこんな生活してるんだ…とか知ることができる。だからQでは異文化体験を凄く大切に考えているんです」
中谷「だとしたら、海外の人から見たQってどうなんでしょう」