「ほぼ全裸」でのポスタービジュアルが話題に

 徳島でイキイキと暮らす少年が俳優デビューをしたのは2014年。2017年、『仮面ライダービルド』の主演に抜擢されるまで、どんな将来像を描いていたのだろうか。

「俳優デビューといっても、まだまだ何もできない時期だったので、将来像は“とりあえずいろんな作品にメインで出られるようになりたい”みたいな漠然とした思いでした。その中で『仮面ライダー』が決まったので、自分の中でようやくスタートラインに立てたなという感覚が大きかったですね。そこからはいろいろなドラマで、いろいろな役を演じられればと思ってはいたんですけど、『ぐらんぶる』で全ていい意味で崩れたという感じでした(笑)」

 「ほぼ全裸」でのポスタービジュアルも話題になった映画『ぐらんぶる』はコメディ作品。これをきっかけに役柄が広がっていったという。その後、戸惑いはあったのだろうか。

「もちろんありましたけど、むしろ、立ち止まってる暇なんてないのでいただいた作品、目の前のことを全力でやってきた結果いつの間にか30歳になってた、みたいな感覚ですね」

 『仮面ライダー』出身の俳優さんの中にはその役柄のイメージが大きすぎて、そこに寄ったり、逆にそこから極端に離れようとしたりということがあるが、犬飼さんの場合はフラットな姿勢で、作品と向き合っていったようだ。

「とくに過去のイメージを気にすることはなかったです。『仮面ライダービルド』は自分にとって大事な作品としてあるのは間違いないんですけど、でも、過去の作品を引きずらないというのは自分の中でのテーマでもあるかもしれないです。もちろん忘れているわけでもなく、写真のアルバムと同じで、大切に思ってるけど、別に毎日アルバムを開くわけでもない、という感覚ですね」

 その後の作品で様々な人と共演。この人との出会いが大きかった。インパクトを受けたという方は?とうかがうと、一瞬考えながら、比較的最近共演した年下の俳優の名を挙げてくれた。

「今年の共演で言うと中川大志くんですね。俳優目線と、制作サイドの目線と両方を持っていて、なおかつほぼセリフもミスらないんです。言葉に説得力があるし、アクションも1回振りをを見ただけで覚えてしまう。もう天性な人なんだな、って思わされる衝撃的な出会いでした」