1988年、田中裕二とのお笑いコンビ『爆笑問題』としてデビューし、お笑いタレント、司会者、作詞家、文筆家、川柳作家として活躍の場を広げ続ける太田光。彼の「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全2回】

太田光 撮影/柳敏彦

 テレビの視聴率の指標がここ5〜6年でガラッと変わったんですよ。

 今はコア視聴率という“ファミリー層”の個人視聴率が重視されて、これには50代以降の視聴者の動向が反映されないんです。今のテレビって、若者に見てもらわなければ評価をしてもらえない時代なんだよね。

 だからオレ自身もテレビ局の求めているターゲットに入っていないし、週刊誌の読者の多くもテレビには相手にされていないわけです(笑)。このことで、テレビの作り方が今までと大きく変わりました。

 現実的には高齢化社会で、むしろ50代以上が多くて、そこがテレビの視聴者でもあるわけですよね。一方で、若い世代はテレビなんて見ないで、ネットを見るわけです。なのに、テレビ局が求めて、ターゲットにしたいのは若年層。そんな矛盾をかかえる中で、どんな番組を作っていくのが正解なのか、ジレンマだよね。

 例えば若者は見ていないんだろうけど『笑点』って世帯視聴率の数字はいいんですよ。ただ、日本テレビも全体としては若者層をターゲットにする方向ですから、今の指標では評価はされていないのかもしれない。

 ただ、あの番組が時代の流れにあらがって、頑張っていることは間違いないと思います。

 子どもの頃にオレは『11PM』なんかを見ていて、「大人の世界ってこういうもんか」って、それはそれで面白かった。そんなことを思い出すと、若い人も無理に自分たちに合わせてもらいたいとは思っていないような気がするんだよね。若い頃は背伸びして、大人向けの番組を見たりして、「なるほど、大人はこんなこと考えているんだ」ってことが面白かったりすると思うし。